スマブラ短編
□その後の...
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「これ...俺の字だ...!」
「...これは...!」
「...そうだ...俺達は...!」
「えぇ、あの世界で...!」
この手紙を皮切りに、二人は、それまで忘れていたはずの全ての“記憶”が走馬灯の様に甦ってきた。
皆で過ごしたスマッシュブラザーズの世界のこと。
記憶の消去に関すること。
そして、ガノンドロフのこと─
「ガノンドロフ...バカだな...また俺に負けやがって...何が、『返り討ちにしてやる』だよ...だったらもっと、本気で来いよ...っ!」
ガノンドロフの戦い振りは、記憶を戻した今思えば、全く彼らしくなかった。
大会の間何度も対決したが、その時には技のキレもあり、一発がもっと重かった。
しかし、先程の戦い、ガノンドロフは何かに迷ってるかのように動きが遅く、まるで全力を出せていない様にリンクは感じた。
「きっと...彼も今の私達と同じ苦しみだったのでしょう...」
ゼルダは、ガノンドロフの持っていた道具袋を見つめながら言う。
ガノンドロフもこれを見ては、記憶の混同に思い悩んでいたのだろう。
そんな半端な状態でも戦うことをやめず、死ぬその最期まで凶悪な顔つきで悪を貫き通したのは、彼なりのケジメだったのだろうか。
この世界の記憶と、あちらの世界での記憶の板挟みになって、どんなにか辛かったろう。
だが今、リンク達の隣りに横たわっているガノンドロフの顔は、先程までの凶悪な表情はなく、全てから解放されたように、安らかな表情をしていた。