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□しあわせじかん
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ぽかぽか陽気のなか、縁側に座る。のどかな鳥の声と風に運ばれてくる花の香り。これは沈丁花かな、なんて考えてる間にもおひさまの気持ちよさについ瞼が閉じそうになる。




「そんなところで寝たら風邪を引きますよ」



ふと隣に人が座る気配。
それはもちろんこの家の主人なのだが、眠気に負けて顔があがらない。返事だって、「あー」だの「うー」だの、ままならない。せっかく菊さんの家にきたのになんで寝てるんだろうなぁ。回らない頭で考えてたら、隣にいる菊さんがふっと笑う気配がした。



「…仕方ないですね」



呆れたような菊さんの声。次に、ふわ、と独特なお香の匂いが鼻を掠めた。王さんと似ているけれどちょっと違う、菊さんだけの匂い。



「しばらく、こうしていましょうか」



少し経ったら部屋に連れていってあげます、と頭を撫でる手が気持ちいい。私は、菊さんの腕のなか。

離れたくなくて、彼の着物をぎゅっと握った。










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