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□からっぽ
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「アリエッタ、シンクにお願いがある…です。」
「ふーん。なに?」
「下に降りてくれないと、アリエッタ、話しにくい。だから、降りてきて。」
別に断る理由もないし、ボクは枝を掴んで下に降り立つ。
ボクと同じ『レプリカ』の草と土の感触が靴を伝って足に響く。
「どうする気「そのまま立ってて。」
言われた通りに立っていると彼女がゆっくり歩いてきた。
3m、2m、1mと距離が縮んでいく。
それでもアリエッタは歩みを止めない。
あと30cm、20cmーーー10cm。
「…なにがしたいんだ?」
そのあまりの至近距離にボクは目をそらす。
あまりに近すぎて、桃色の髪一本一本から見上げてくる赤味を帯びた瞳さえもよく見える。
しかしここまで近づいても彼女はボクから目をそらさなかった。
ーー無言のまま。
「…アリエッ…っ?!」
そうボクが問いかけようとした瞬間、ボクたちの間の距離が0になった。
ボクのカラダに、華奢で軽いアリエッタが寄りかかる。