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□からっぽ
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「…シンク、下、いい?」
「…好きにすれば?」
ボクは浮上したエルドラントの木の枝に片足を投げ出して座っていた。
別に深い意味なんてない。
ただ1時間程の自由時間を、ここにいないアッシュを除く六神将全員がヴァンにとらされたから外にいるだけで。
別にやることもないからただなんとなく1人になれる木陰を探したら、ここになっただけだ。
もたれている幹はちょうどよく曲がっていて座りやすい。
「で、なにしにきたのさ、アリエッタ?この時間帯ならライガたちの餌の時間だろ。」
目だけを下に動かしてアリエッタを見る。
「今日は早めに食べた。です。…シンクとお話しがしたかったから。」
そう言うといつも手放さない、悪趣味ともいえるぬいぐるみが少し潰れた。
「ふーん。で、なに?一応言っておくけどボクからは話すことなんてないから。」
視線をアリエッタから枝の先にある青葉に向ける。
実際に、からっぽなボクに話題なんてあるはずがない。
それにアリエッタの話しは大抵大したことじゃない。
ほとんどは任務の話しや自分のお友達(ライガのこと)の話し、そしてイオンの話しだ。
ーーただ最後の部分だけは聞くと心臓が痛むが。