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□四季花祭り〜歓喜ノ舞〜
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パサ…
巻いてあった紙をとると手紙が手から零れ落ちた。
ゼロスはそれを拾いあげて、手紙をひろげた。
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拝啓。
世界統合を記念しゼロス殿を我が里の四大祭りの1つ、『花見』に招待されたし。
ただ決まりが1つ。
ゼロス殿お一人で来られますよう、又、他言のなきようお願いいたす。
日時は3日後の夕刻。
場所はミズホの里にご到着後、こちらの遣いが案内する。
ミズホの民頭領、イガグリ
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「『花見』ね…」
読み終えたその白い手紙をくるくると手の中で遊ばせてから、そばにあった机に置く。
ちょうど記載された日時である3日後はゼロスの数少ない休暇だ。
休暇なんてものはゼロスにとって無駄に寝て好きでもない女たちに愛想振りまくだけだけの暇な1日なだけ。
だから、まだ経験したことのない『花見』とやらの祭りに行くのも新鮮かもしれない。
それに…。
「…元気でやってっかな?アイツ。」
世界が統合されてからまだそこまで時は過ぎておらず、しいなとは何かと忙しくて全然会えていない。
まぁしいなは今、平和の使者として様々な町とのパイプ役を務めているのだから当たり前といえば当たり前だが。
「よし、セバスチャン!。」
「はい、なんでございましょうか?ゼロス様。」
さっきまで部屋の掃除をしていたはずなのに、呼べば間髪いれずにドアの向こうから返事が返る。
老いた体とは思えない程の身の軽さはさすがセバスチャン、とでもいうべきか。
「3日後の夕方、俺さまちょっと出かけてくるわ。だから俺さまの分の飯は作っとかなくてもいいってコックたちに伝えとけ。」
「かしこまりました。」
『待ち遠しい。』
今の心境にピッタリな言葉だと、ゼロスは思った。