07/07の日記

02:57
七夕(SSS)
---------------
ムラユ
少甘




今日あえないかも、だって。


空では一年振りの再会を果たしてるっていうのに皮肉なもんだ。

明かりを消した自室から床に寝転がり夜空を眺めた。
特別輝いて見える訳でも無く、いつも通りの空だ。
しばらくその状態でいると、黒い拳くらいの大きさの影が窓から入り込み、弾んで落ちたような音が聞こえた。

まさか、鳥……じゃないよな?

何だかわからない物体に怯えながらも、その落ちた音に聞き覚えがあるような気がして思い出そうとした。

どこだっけ。どこで聞いたんだっけ。最近聞いた気が……。


……………あっ!そうか。

ようやく思い出し、部屋の電気を点ける。


やっぱり。
村田のゴムボールだ。
何でこれが……。

ボールを手に取ると、何か文字が書いてある。


『今から外に出られる?』


書かれたその文字は書きづらかったのか、それとも慌てて書いたのか字が波打っている。

急いでボールを持ったまま外へ出ると、門のすぐ側で制服姿の村田が立っていた。

「渋谷の特訓のおかげだね。上手く部屋の中へ入ったよ」

嬉しそうに話す村田を見て、人目をはばからず思い切り抱きついてしまった。

「危ないだろ。人の部屋に投げ入れて」

「渋谷なら当たっても大丈夫かな〜って」

「おい!」

「冗談だよ。ほらもう遅いし、何か連絡手段をって考えてたらそれ持ってて……」

持っていた鞄を下に落とすと、ぎゅっと抱きしめてかえしてくれている。

「逢いたかった」


「……うん」


おれは“このままずっといられますように”なんて心の中で願っていた。



→end

前へ|次へ

日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ