06/16の日記
22:31
君の傍にいる(SSS)
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ムラユ
少シリアス
真夜中、有利に逢わなくちゃいけないような気がして眞王廟を出た。
こちらの世界はこういう事が出来るからありがたい。
誰にも迷惑かけず、気にせずに逢うことが出来るのだから。
もっとも、見つかる人によっては小言を受ける事もあるけれど。
城に着き、部屋の扉を小さく叩く。
何も応答がない。
夜中だから寝ているのかもしれない。肝心な事を考えてなかった。
もしそうなら寝顔だけでも見て帰ろうと部屋に入ると、ベッドに腰掛け窓の方を眺める有利がいた。
「起きてたんなら、返事くらいしてほしかったなぁ」
腰掛けている隣に座り、話しかける。
「……ごめん。聞こえてたけどなんか外が明るくて目が離せなかったから」
確かに今日はいつもより明るく感じた。そのおかげで難なくここに辿り着いている。
それにしても、今の彼は元気がない。
というより笑顔が無い。
「何かあった?」
「……そんな事よりさ、村田はどうしたんだ?」
肯定も否定も無しか……。
「そうだな僕は……、ゆーちゃんを襲いに来ましたーっ!」
「……」
両手首を掴み押し倒すも、いつになく無反応だ。
「なーんて、何かあるなら言ってほしいな。僕は何の為に君の傍にいるかわからなくなる」
「……、うん」
戸惑った表情から少しの笑顔が見て取れた。
「やっと、笑ってくれた」
君は闇に隠れてはいけない。
僕は君のように明るく照らすことはしてあげられないけど、道を示すことは出来るから。
いつまでも、ずっと傍で――。
→end
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