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苺の香りが鼻をくすぶらせる
あたりの匂いをかいでみると、それはどうやら安の持っている
ティーカップからの様だった

安‥‥由もちょうだい

ちょうど口の辺りまでタオルケットを掛けて微睡んでいたから
モゴモゴと口が動いているだけだったのに
安は少し驚いた表情で起きてたの?と訊く
うんと頷き、安から差し出された苺カルピスをごくりと飲む

「テレビの音‥‥大きかった?消す?」
「ン‥いい」

つけっぱなしのテレビが今、流行のお笑い芸人を映し出していた

「安の飲んでいる苺カルピスで目が覚めたの」

ソファーから離れてダイニングテーブルへと行く。
安の隣の席に腰を下ろす
また、彼女は驚いた表情で嘘‥‥と呟く

「本当だもん」

一口また、ティーカップを口に持っていき安に渡す

「相変わらず食い意地はってるよ。由は」
「しょうがないよ。だって由の体の血液は苺カルピスなんだから」

お互いに顔を見合わせて笑う
由は安のこの笑顔が大スキだ。
少し細い目がさらに細くなって、薄い赤色の唇の中から白い歯がひょっこり姿を見せる
やっぱり、安はキレイだ
一重の細い目に鼻筋も細いし薄い唇は赤く、
まるでイチゴのようだし
おまけに白い肌でほっぺは淡いピンク色だけど
そこまで目立った顔立ちをしている訳ではない
でも、そんな彼女の顔が好きだし本当にキレイだと想う
昔、絵本で読んだ白雪姫のようだと安に言うけれど
彼女は大きく首を振って
そんなにキレイじゃないよと笑う
もっと自信を持てば良いのにと想うけれども
彼女のこの控えめな姿勢が美しさを増すのだろう
そんな安には今,スキな人がいるらしい
安と同じテニス部で由と今,席が隣のスポーツ少年
こんがりと焼けた肌は健康的でクラスに一人はいるスポーツ万能,でも勉強は駄目で
皆のリーダー的存在という奴だ
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