□序章
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安
こうやってね、安を呼んだら、君のキレイな目と唇がニコッとして
どうしたの、由
って振り向いてくれるんだよね
そんな君が由にとっては、とってもキレイに見えて
何度も何度も君を呼ぶ
自分の幼い頃の姿が想い出されるんだ。
用もないのに何度も呼んだけれど、そんな由に君は一度だって怒ったことがなかったよね。
ただ君はいつも言うんだ。
うちは、由が居てくれる毎日に日々 感謝してます
うちと由が双子という奇跡に神様ありがとう
ほらッ由も神様にありがとうッて言わなきゃ
君に催促されるがままに由は言うんだ。
神様、ありがとう
何の気持ちもこもっていない由の言葉にも安は、そっと微笑んで
由、大スキだよ
ッて耳元で囁く。そんな当たり前のことを何故、何度も言うのかと想いつつ由も安の耳元で囁く。
安、もっと大スキ ッて
そして2人で顔を見合わせて笑うんだ
多分、由と安が12歳頃のハナシ
由は、安によくこのハナシをするけれど君は覚えてないって笑う
でもこれは絶対に事実だよ
だって現に由たちは寝る前にお互いの布団に潜りあって
そっと耳元で囁くじゃない
大スキだよッて