雑食短編

□ダーク・ブルーの欠片/黒球
1ページ/4ページ





『龍二ー、一緒に帰ろーぜ!』


いつも放課後になると隣のクラスに足を運ぶ。


「ちょっと待って。」


まだ教科書を鞄につめていない龍二がその手を早める。

俺たちが通っている高校は荒れもしなければ、優等生学校でもない。

いたって普通の学校なのだが、俺の親友 前嶋龍二は少し強面な顔をしているだけでクラスから少し浮いた存在になっていた。

ほんとは正義感あってすげーいい奴なのに表面だけ見て区別つける奴らに怒りを通り越して呆れる。

そんな龍二といつも一緒に居る俺も最近では浮いた存在になりクラスで話しかけてくるやつもいない。


ーあいつと話すとろくなことがないー

ーあいつ前嶋と絡んでんだろ?絶対そっち系だってー


前まで普通に話してた奴まで俺といると標的にされると思ったのか遠巻きに俺を見て、仕舞いには俺に関する嘘を平気で吐いたりと散々な高校生活だが、小学校から一緒の龍二と一緒の学校に入れたのは素直に嬉しい。

我侭をいうと同じクラスになりたかった。


「帰ろう。」

『うん。あ、帰りマックよってかない?昼パンだけじゃやっぱ足んねーわ。』

「はッ、俺より食うくせに俺の真似すっからだろ。」

『だってさ、いっつもお前が食ってるパン旨そうなんだもん。』


廊下を歩いていると他の生徒がちらちら視線を向けてきた。

そんなのはもう慣れていて、龍二も俺も無視する。


『そういや、今マックでまたコップ貰えんじゃん!それ食おうぜ!』

「あれってLサイズ飲まなきゃだったろ?俺パス。」

『余ったら捨てりゃーいいじゃん。』

「信じらんねーお前。」


俺たちの高校は部活参加は強制ではないので、龍二も部活やらないっていうし、正直俺も部活とかそういうのは面倒と思うタチなので2人そろって帰宅部だ。



近くのマックに入り龍二に先にメニューを言われる前に俺がバリューセットを2つ注文する。


「うわっマジでやるかよ普通、お前の奢りだからな!」

『いいよいいよ。ほら先席座ってろって。』


龍二が席を探しにいったところでバーガーを準備している店員さんにちょっと頼みごとをする。


『すいません。コップを2つ同じ色にしてくれませんか?何色でもいいんで』

「え?同じ色ですか??」


普通はかぶらないようにして、と言われているのだろうか凄い吃驚された。


『あ、やっぱ無理ですか?』

「いえいえ大丈夫ですよ。少々お待ちくださいね」


しばらく待つと見事にトレーが2つ。

然程店は混んでいなかったので片手で持って龍二が居る席に向かう。


「あ、多かったら俺呼べよ。」

『いいのいいの。筋トレも兼ねてるから。』


龍二にトレーを渡すと申し訳なさそうな顔を少しして受け取る。


『そういやポテトもLサイズだったっけ。』

「これ食ったらもう晩飯いらねーよ。」

『まぁまぁそう言わずに。ジュースお前のお茶にしといたけどコーラの方が良かった?』

「いや、お茶でいいよ。コーラとかそんな飲めないし。」


他の学校も下校時間になったのか段々と賑やかになる店内。

他愛の無い話をしながら食べていたハンバーガーも無くなりあとはジュースだけになった。


『あ、週末なんか予定ある?』

「なんで?なんもないけど。」

『どっか遊び行こうぜ!なんか最近テストとかあって遊べなかったじゃん。』

「・・・うん、いいよ」


あれ・・・なんか今間があったような。


「柚・・・もし、俺が居なくなったらどうする?」

『へ??・・・どうしたんだよ急に。』

「いや・・・なんでもない。」


ずっとストローの先を見ている龍二…なんかあったのか?


『居なくなったら必死で探す。

 お前が居なくなったら嫌だし・・・居なくなるとか言うなよ。』

「柚・・・・。」


ビクッ


龍二がビクンッと震えた気がした。


「あ、やべっ!今日これから用事あるんだ。柚ごめん、後でメールする!」


そういうと急に走って店を出る。


『えっ!あっ・・・オイ!』


大声を出したからか、店内にいる人が俺を見る。

まだコーラが残っていたが…。

あ、龍二コップ忘れてるし。

仕方ないと2つ鞄に入れトレーを片付けてから店を出た。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ