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□Spoil/PSYCHO-PASS
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慎也が新入り監視官に打たれたとおっさん…征陸から聞いたのはついさっき。
どうも脊髄を打たれたらしく、復帰は明日以降になるとのこと。
……ざまぁ。
日々俺をパシりに使っていた罰が当たったんだ。
まぁでも慎也は仲間だから、この俺だって少しは彼を心配する。
『監視官ーまだ慎也んとこ行けねーの?』
「…明日になったら戻ってくる。
それより報告書がまだだが?」
点滴やらで管まみれなあいつをからかいに行きたいのに、監視官から許しが出ない。
それどころか報告書はもう送信したのに、宜野座にギロリと睨まれた。
『えっ!?出したよ!!
…マジだってデータ送った!』
「あ、それってさファイル名報告書ってやつ?」
『…そうだけど、なんでお前が話に入ってくんだよ。』
縢がゲームをしていた手を止めて、俺のパソコンを指差した。
「謝ろうと思って忘れてたわ。
あのファイルさ、間違ってゲームの攻略法メモってたら上書きされちゃって…。」
『なんでいちいち俺のパソコンで、しかも報告書ファイルを開くんだよ。
てか攻略サイトないと出来ないくらいならゲームなんてやめちまえ!!』
「ゴホンッ…兎に角あんな報告書は受理出来ない。
もう一度制作し直せ。」
『…了解。』
このッ!全てはお前のせいだと縢の頭を思い切り叩きつける。
いでッ!と痛がってはいたが、彼は確かに笑っていた。
間違ってだと?わざとやったくせに。
はやく慎也に会いたいな…と本日2度目の報告書を書き始めた。
***
結局宜野座にOKと言われるまで3回報告書を書き直した。
何時間やり続けたのだろうか、何かもう慎也のとこに行くのが面倒になったから自室に戻る。
自室と言っても俺達潜在犯の部屋には鍵がない。
つまりは誰でも部屋に入ることができるので、もはやここは自室ではなくただ寝るための部屋。
『ぐあ〜眠い。』
「なぁヒロ、飯行こうぜ。」
『ッ!いきなり声かけんなよ吃驚するからッ!』
彼は壁に寄りかかりながら、ベッドに寝転んでいる俺を見下ろしている。
縢が俺を何かに誘うとき、それは溜まってきたからお前のケツを借せという2人の内だけで決められたルールだった。
ルールと言ってもあっちが勝手に決めた事で、俺に決定権はない。
「なー飯!」
『ん…分かったから黙れ。』
折角人が寝ようとしてるのに。
半ば強引に引っ張られながらフードコートに行き、食いたくもない飯の品定めをする。
あまり腹も減ってないので晩飯には普段頼まないサンドイッチを注文し、トレイを受け取って先に席についていた縢の向かいの席に座った。
「そういやヒロ、新入りちゃんに会った?」
『いや。』
「超可愛いの。マジで!」
『なら性欲処理もその可愛い新入りちゃんにさせればいいだろ。
もういい加減やめてくれよ、このままじゃ俺ケツがケツじゃなくなる!』
「飯中にきったねーなぁ。」
そんなことは気にしなさそうな縢は、嫌そうな顔をしながらも飯を食っている。
『もっと汚い話をしてやろうか?俺はそういうの全然平気だし。』
「まぁ俺も平気だけど。」
『なら口答えしてないで早く食え。俺夜からシフト入ってんだよ。』
「じゃー2回出して終わりだなー。」
『ちょ、2回は勘弁。』
お前も俺と同じくらい汚い話ししてんだけど、と思いながらも残り少ないサンドイッチに齧り付く。
縢はもう食べ終えたようでトレイを返しに行くのか席を立った。
俺もまだ口の中にサンドイッチが残っているものの、トレイを持って席を立つ。
「んじゃ一発やりますか。」
『お前新入りちゃんにでも聞かれたら好感度ダダ下がりだぞ?』
「新入りちゃんはもう帰ったから関係ねーよ。」
『ふーん?』
隔離施設で警備がそこまで厳しくないところはトイレの個室くらいだ。
トイレにも監視カメラはついてるが、さすがに個室一つ一つまではついていない。
まぁ監視してるやつらにヤってることはバレてるだろうが、リアルタイムで見られることはないのが唯一の安心点。
…こんなことばっかりしてるから俺らは潜在犯なのだろうか。
灰色に濁ったサイコパスを眺めながら、今日も縢と人気のないトイレへと向かう。
***
何が嬉しくて男の性器を舐めなければならないのか。
こいつ今日風呂入ってないな、と思わせるほどに男臭さがキツい彼の性器は俺が先端を舐めていると徐々に反り返ってくる。
「お前フェラだけはうまいよな。」
『…それどういうことだよ。』
カリッと先端部分に歯を当てると、彼はいってぇ!と俺の髪をぐいっと掴み上げた。
余程痛かったのか、縢の目が少し潤んでいる。
「ムカついたから、今日は慣らしてやんない。」
『えッ!ちょ、まっ…!』
それは困る!と必死でケツを手で隠すが、こういう時だけ無駄に強い彼はいとも簡単に俺の手を叩き落す。
手の甲がジンジンと痛むのを我慢していると、尻穴に暖かくて硬い性器があてがわれた。
数日ぶりの感触に、穴がきゅんと一瞬力む。
「素直じゃないんだから。
こんなに欲しそうに腰振ってるくせに、ねぇ?」
『振ってねーしッ!…あっ!』
「ほら、いつもの体制になって。」
そう言われ俺は便器に手を付いて、彼に尻を突き出す体制になる。
すると彼は待ってましたと言わんばかりに、一気に俺の中に自身を突っ込んだ。
パンパンッと肌同士がぶつかる音と、2人の荒い息遣いがトイレ内に響く。
次第に彼のカウパーが溢れてきて、ちゅぼちゅぼと厭らしい音が彼の限界を知らせた。
「いい加減さッ、俺のもんになる気になったぁ?」
『…ッ、んあ?』
「だーって、お前いっつもあいつとべったりじゃんッ。」
あいつとは慎也のことかと、ゆるゆるの思考で考える。
こいつは嫉妬とかそういうのとは無縁な、浅く広く人間だと思ってたがどうやら違うらしい。
証拠に今縢は、力任せに腰を俺にぶつけてきている。
入ってはいけないところにまで性器が入り込んでるような気がして、下腹部に異常なくらい違和感を感じ、自然と涙があふれてきた。
「あーくそッ!ムカツク!」
『ぅぁッ!…痛いッ!痛いからッ!抜けッ!!』
「お前が俺のになるまで離してやんないからな。」
『…ッ!』
いつもよりも低いトーンで言われ、ゾッと背筋が凍った。
俺のって何、恋人、肉便器?…彼の考えてることが分からない。
彼を差別するつもりはないけど、5歳から潜在犯となるとここまでメンタルがおかしくなるものなのか。
初めて目の当たりにした彼の本性は、同じ潜在犯の俺から見ても正気の沙汰とは思えない。
ドンドン
「『!?』」
突然トイレのドアを叩かれて、2人して動きを止め息をのむ。
数秒の沈黙の後宜野座の声で「出てこい」と覇気の無い声がドア越しに聞こえ、スラックスを穿き直しながらゆっくりとドアを開けた。
「お前ら何をしていた。」
『…。』
「もうこれで何度目だ。
次もう一度犯罪係数が平均値を超えるような事が施設内で起こったら、上はもうお前らを擁護しないと言っている。
…言いたいことは分かるな。」
『…だからやめようって言ったのに。』
「はぁ?お前から誘ってきたくせに俺に濡れ衣着せるつもりかよ。」
「…ヒロ。お前は今から仕事だ。早く行け。」
『…はーい。』
宜野座に言われるまま、ヒロはトイレを出る。
彼がトイレから出て行ったのを見届けて、まだ残っている縢に視線を戻した。
「あいつは大事な即戦力だ。
遊び相手がほしいなら違うやつにしろ。」
「へぇ?監視官なんて俺達のことなんてどうでもいいかと思ってた。
特に宜野座監視官はね。あ、俺達じゃなくてヒロだけか。」
「…言いたいことはそれだけか。
なら早く自室に戻って大人しくしていろ。」
「へぇ〜い。」
(おいヒロなんか臭うぞ)
(え?あー風呂入ってなかったわ。でも加齢臭ぷんぷんよりだったらまだ許せるだろ?)
(このガキ…。)
end