ジグソーパズルU
□標的41
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基地に戻ってからは気分が悪いと言ってずっと部屋にこもりきりな凜。それにはツナ達も気をかけていた。
「凜…」
『…』
「凜、いっしょに飯食おうぜ♪」
「おい!10代目の呼びかけに返事しやがれ!!」
誰が部屋の前から呼んでも反応はなかった。そんなときノックもせずに部屋に入った男がいた。
「いつまでそうしているおつもりですか?」
『…勝手に入ってこないで』
「こうでもしなければ入れてくれないでしょう?」
『……』
夜月は呆れたようにため息をつくと凜の寝ころんでいるベッドに腰かけ凜の表情をじっと見た。
「都亜のことですか?」
『!』
「もうひとつ気にしていることはあるようですが…、それはあなたのプライドの問題でしょう」
『……』
いっこうに口を開かない凜を見た夜月は寝ころんでいる凜の両頬を両手で挟むように包み無理矢理視線を絡ませた。
「私はあなたの執事です」
『…』
「何故頼ってくれないのですか?私はあなたの力になりたいのです。我が主のために私はこうして傍にいるのに」
『(夜月…)』
十年前は聞けなかった執事の本音。彼もきっとこの時代において主を失いはじめて伝えなければならないことに気が付いたのだろう。
「ひとりで抱え込まないでください。私がいつでもお側におります、凜様」
凜の目はうるんでいた。手が離されたと同時に凜は俯き我慢していたものが零れ落ちた。
『ありがと…っ、夜月』
「いえ。まずは食事をおとりになっては?話はそのあといくらでも聞きますから」
『うん…(ニコ』
十年経っても変わらない執事の忠誠に凜の迷いがひとつ姿を消した。
(あのふたり、小僧とツナみたいだな)(オレはあんなに忠実じゃねぇぞ)(ある意味は忠実かも…)(うるせぇ)
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