キミの唄

□08.変化
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あれから、こっそりいつきから離れ私は奥州へと向かっていた。


「そう遠くないって言われても、遠いでしょ」



文句を言いながら歩きにくい雪道を進む。

だんだんと足は冷たくなるし、動きづらくなってきた。



「(千、アイツ無理しすぎだって・・・。しかない、呼びに行くか)」


しかし、どうしても私は政宗たちに会いたかった。




「くそっ・・・もっと動けよ!」


思い通りにならない足にだんだんといらだつ。

それでも必死に足を動かそうと努力する。

が、やはり限界らしく踏み出した足から力が抜けて前のめりに倒れていく。


「(くそ、倒れたら立てないよ・・・!)」



眉を寄せ、雪が近づく。

が、ふいに雪から離れた。




「おい、乗れ。」


それは低い男の声で、自分が助けてもらったのだと気付く。

乗れ、と言われてもなににだろう?

使えない頭を動かし、考えた。


「どうした、早く乗れ」


とりあえず、顔をあげると馬に跨ったヤクザ。



・・・・・・・・・・ではなくて、男の人。

あれ、なんか見たことあるぞ?

あれ、だれだ?あれ?


いつき?あ、女の子だしもっと可愛い!

政宗?つか、梵。いや、あの子ももっと可愛い。そしてまだガキ。

・・・・・・・・・・・・・・・・小十郎・・・・・・・・?



な、わけないか!

他人の空似ってやつか?


「はやくしろ、こっちも暇じゃねえんだ!」



ガン付けられて恐ろしい声で脅される。

ビクビクしながら馬に近寄るが、自分で馬に乗れるくらいなら歩いて帰ってるっての!!!


「・・・・・・・ったく」


ぐい、と腕をひかれ、気付けば男性の前に座っていた。

スッゲ!力持ち!!





馬くんはものすごい勢いで走って行く。

森を抜け、流れていく景色。



しばらくして、お城についた。


あ、そいや目的地言ってなかったw


男の人は馬から飛び降り、私を見る。

ま、またガンつけられた・・・。


「掴まれ」


ぎこちなく差し伸べられたて。

あれ、案外優しい?


「あ、ありがとうございます」


遠慮なくその手に掴まり、馬から下ろしてもらう。



振り返って、馬もぽんぽんと撫でて感謝の気持ちを表す。


よく、みると首の付け根にシルバーの首飾りのようなものがかかっている。


私はなにげなくソレに手をのばした。


「それに触るなんじゃねえ!!!」



怒鳴られた。

顔も怖いが、彼から漂う殺気に体が震える。


 
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