短編小説

□我等は子供!!
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「『「できたー!!!」』」


仲良く三人は、絵を描いていた。


「これが梵!」

「これが竺丸!」

『これが、花っ!』


少しずつ大きさの違う魚。

一番小さいのが花。

二番目が竺丸。

三番目が梵天丸。



そして、



「『「こじゅー!!!」』」



外からぱたぱたと元気よく手を振る、梵天丸様たち。


どうしたのかと思い、慌ててて駆けていくと、




『これ、あげる!』



花から渡されたのは、

「こい、のぼり・・・?」



俺の手の中では、ぐちゃぐちゃの魚が泳いでいた。


目の前では、不安そうにこちらを伺う三人。



俺がこれを気に入らないとでも思ってるのだろうか


確かにぐちゃぐちゃだが、一生懸命さがこれでもというほど伝わってくる。



あーでもない、こーでもない!と三人で言い合いながら考えてくれたのだろう。



「この小さいのが花。」

「一番絵が上手いのが竺丸様だろう?」

「そして、この魚に見えないのが梵天丸様」



そう言って笑ってやれば、ぎゅっと抱きついてくる花と竺丸様。


俺も、二人を抱き返してやる。



「梵天丸様はもう少し絵を練習いたしましょう。それと、」


ありがとうございます。






「『「こじゅ、だいすき!」』」

梵天丸様がぎゅっと抱きついてきて、声をそろえていった。


三人の頭を順に撫でてやる。




別に、こいのぼりが欲しかったわけじゃない。
寂しかったわけじゃない。


なんて、強がりな嘘。



俺も貴方と同じ、

今日だけは子供でいさせて。




『こじゅさま、はいお餅!』



 


 
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