キミの唄

□04.片目
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「梵天丸さま」


小十郎の話に耳を傾けていると、数十日ぶりに聞いた懐かしい声。

しかし、その声はとても悲しく虚しいものだった。



「俺の右目はな、」





するりと解かれた包帯。


その下には、



『まさむね、・・・っ・・ごめ・・・』



ただ、俯き泣くことしか出来なかった。


彼の右目は醜く飛び出し、誰が見たって驚き気持が悪いと思うだろう。




どうして私は気づくことが出来なかったのだろう。

どうして思い出せなかったのだろう。

どうして忘れていたの




『きみは、がんばったのにっ・・ひどいよ・・・神様!』



顔を両手で覆って泣く。

政宗は頑張ったのに。

どうして、こんな意地悪をするの?



 
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