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□愛好家
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小汚いバーの二階が私の家だ。今もここで銃の手入れをしている。愛用のリボルバー式の銃だ。
今日は仕事がないから久々の休暇というわけだ。ん?銃を使う仕事だから警察官かって?違うよ。むしろ逆の立場なんだ。彼らにとって厄介事を起こすことが仕事かな。
何飲む?
ああ、ココアね。君はココアが本当に好きだね。
私の家は普段は物がほとんど無いに等しいんだけど、君が来るときは必ずココアを買うんだ。
大丈夫。小型の冷蔵庫くらいは置いてあるから。
さっきの話の続きだったね。そんなに私の仕事が知りたい?まあ、気持ちはわかるよ。話を聞く機会なんてそうそうないからね。
あ、またの機会にする?わかった、この次には話すよ。
!!…お茶噴きだしそうになったよ。Lと恋人だなんて…。盛大な誤解をしているね。手遅れになる前に訂正できて心からよかったと思うよ。まず、私達は恋人でも何でもない。ただの腐れ縁の幼馴染みだ。そう、仕事仲間といった方がいいかな。
いやいや、本当に恋人じゃないって。少なくとも私達は幼馴染みという枠から出ていないよ。Lだってきっとそう思っているさ。
ふざけるな?…これでもかなり真面目なんだが。ああ、たのむから地団駄を踏まないでくれ。ここはそんなに新しくないんだ。下に響いて店主のボブが起きてしまう。
Lが、私を、好き?ないよ、それは。Lとは長い付き合いだけど、そんな素振りを見せたこともないよ。
私が気づかないだけ?そんなことないさ。第一彼から告白されたことがないんだから。
…どうした。気分が優れないのか。…信じられない?私が?Lが可哀想?いや、でも好きだったら告白するだろ。いくらでもチャンスはあったと思うが。それが出来たら苦労しない?まあ、確かにそうだな。
君はさっきからLのことばかりだね。今度Lが帰ってきたら聞けばいいじゃないか。恥ずかしい?そうだね。でも彼ならちゃんと答えてくれるよ。
私?…私は、いつだろう。余り胸を張って言える仕事じゃないからね。
今まで余り行かないようにしてきたんだ。でも、ワイミーは心配性だからね。こんな私でも、帰ってきて欲しいみたいだ。
うん、ありがとう。
優しいね、君は。大丈夫、必ず行くから。本当だよ。
Lが帰ってきたら、たくさん話しかけるといいよ。でもすぐにいなくなったりするから、注意していなきゃね。
もうこんな時間だね。
夜更かしはほどほどにするんだよ。
大したことじゃないよ。薄い隈があって目が充血していたから。それだけだよ。
鋭いくせに鈍い?そうかもね。Lが気の毒?
ついつい喋りすぎてしまうね。本当だ。秘密にしないと。君だけこんな特別扱いしているのがバレたら、ワイミーに怒られてしまうね。
忘れ物はしていないか。
…どうした。
もちろん。またおいで。私もだよ。とても楽しかった。
わかった。必ず行くから。
じゃあ、また。
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