*Novel*
□藍の雫◆豹変
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「坂本さん。もし良かったら今夜、飲みに行かない?」
休憩中、デスクに座って雑誌を読んでいると。
小声で伊吹に話しかけられた。
一瞬、七斗のことが頭をよぎったが、今日は運よく彼は有休を取っていた。
「はい……行きたいです」
迷った末に頷くと、伊吹は鋭い野性的な目を柔らかく細めた。
「じゃあ、後で」
***
一次会は居酒屋。
二次会は、夜景の見える雰囲気の良いバーに連れて行ってもらった。
すっかり酔ってしまった彩那は、隣に座る彼の横顔を見つめた。
綺麗な長い睫毛…鋭角な顎のライン。
(やっぱり、七斗さんには悪いけど……伊吹君の方が好きかも)