*Novel*
□藍の雫◆余韻
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残業が終わり、彩那は家の方向が同じ七斗と一緒に帰ることになった。
並んで歩道を歩き、彩那は先程彼にされた行為を思い出していた。
(また、途中でやめられちゃった…)
いつも良い所で切り上げる彼。
おあずけにされているようで、彩那の体は疼いて仕様がなかった。
別に付き合っているわけでもないし、彩那には他に好きな男がいる。
なのに、同じくらい七斗の存在も大きくなっていた。
求めているのは、彼の体なのか…心なのか。
自分でもよくわからなかった。
外のひんやりした空気にさらされ、彩那が指をさすっていると。
七斗が不意に手を繋いできた。
「彩那……俺の家に寄っていかない? お腹空いたでしょ、何か作ってあげる」
熱のこもった瞳で見下ろされ、彩那は静かに頷いていた。