*Novel*
□藍の雫◆密室で…
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「…お疲れさま」
「お疲れ」
たまたまエレベーターで片想い中の伊吹と一緒に乗り合わせてしまった。
他には誰も乗っておらず、エレベーターに二人きり。
彩那は緊張で高鳴る胸を押さえつつ、会話を探した。
「坂本さん。今度飲みにでも行かない?」
先に口を開いたのは伊吹だった。
「えっ?」
突然の誘いに目を見開くと、彼は長めの前髪を掻き上げて照れくさそうに笑った。
「前から誘いたかったんだけど、坂本さん人気あるからなかなか言い出せなくてさ」
「そんな…。私でよければ、いつでも誘って下さい」
嬉しくて彼を見上げながら微笑むと、すっと彼の長い指が伸びてきた。