家の弟は本当に可愛いんです!


-第五話-


「こちらの部屋を使って下さいとのことです」

滝夜叉丸に案内されたのは、普通のものよりも少し大きな井戸が近くに見える部屋だった。
大きな井戸があるということは、食堂が近いのだろう。

「ありがとう、滝夜叉丸」

お礼を言って頭を撫でる。
触り心地の良い髪が頭巾に隠れていて少し残念だけど、頬を少し赤くしながらも嬉しそうな顔をして擦りよってきてくれたので私は大変満足です。
相変わらず家の弟は可愛らしいと、気持ちが赴くままに抱きしめてしまいたいけれど、自宅ではないので我慢しようと思います。はい。

「滝夜叉丸のお部屋はどこにあるの?」

撫でる手を下ろし問いかけると、残念そうに顔を上げ、今し方歩いてきた廊下を指差した。
残念そうな顔がまた可愛い…。

「この長屋の隣の隣の、そのまた隣の長屋です。少し遠いですね…」

眉を下げ、寂しそうに答えた滝夜叉丸の様子に再び抱き締めたいという衝動がこみ上げる。
ああっ、本ッ当に家の弟は可愛い…!!
しかしここは自宅ではないと自分に言い聞かせ、なんとかその衝動を抑え込んだ。
…もう一度可愛らしい事をされたら…私耐えきる自信がありません…。
可愛すぎるのも考え物だねホント…。

「大丈夫よ滝夜叉丸。同じ学園の中にいるのだから、いつでも会えるわ」

なんとか平静を取り戻し、可愛い弟の寂しさを紛らわせようと言葉を尽くす。(決して自分の気を紛らわすためでは…!!)
その言葉にピクリと反応した滝夜叉丸は、ガバッと顔を上げキラキラした目で問いかけてきた。

「ではっ!…や、夜間訓練がない日は、寝る前に姉上の部屋へ伺っても、よろしいですか…?」

甘える事が恥ずかしいのか、先ほどよりも頬を染めて必死に訴えてくる様子にもうっ…!!

「滝夜叉丸…!!!」

流石の私も我慢の限界です。
もう構うものか。
可愛くて愛しい弟を抱きしめて何が悪い!!

「あっ、あねうえっ!?」

「勿論いいわっ!夜だけとは言わず、いつでもいらっしゃい!!」

滝夜叉丸が苦しくならないように加減して抱きしめる。
腕の中に抱き込まれた滝夜叉丸は、少し抵抗したあと、おずおずと背中に腕を回して抱き締め返すと、顔を綻ばせて擦り寄ってきた。

この子は私を殺す気かっ…!!
至福の時間とはまさにこういう時の事を言うに違いない…。
私は今世界で一番幸せですっ!!


麗しき姉弟愛。
(滝夜叉丸は本当に可愛いわっ)
(あ、姉上はいつでもお美しいですっ)


+++++
滝姉はブラコンです。な巻き。←
食満姉よりもブラコン度が高い、滝姉なのでした。
そして滝はシスコン。

ほとんど似たような内容の食満姉のお話があるけど気にしない気にしない。(マテ


拍手ありがとうございました。
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