Happiness

□Prequel
1ページ/4ページ





アーサー様と思いが通じあって、それから婚約までしてしまった。
展開が早すぎるとは思ったが、今が幸せだからそれで良いと思う。



そんな激動の一件から数日後。


私の体は回復傾向にあった。
肩も以前よりは痛くない。



けど1つだけ問題点を上げるとするならば…



『左肩が…上がらない』



アーサー様が手配した医師達は全員優秀な人材だった。
手術跡も気にならないくらいだ。

しかし…



『肩から上に上がらないなんて…った』



斬られた場所が悪かったのだろう。
手術は完璧だったのだから。



『…これは、アーサー様に言わないでおこう。きっと心配をかけてしまう』


私は負傷した左肩を庇いながら、仕事着に袖を通す。


『っ!!』


ピリピリとした電流が身体中を駆け巡る。

痛い…

完全に直ったと言えない傷口は僅かに熱を持った。



『…大丈夫だ、働ける』



そう自分に言い聞かせ、自室を出た。



「あ、おはようございますルークさん」



「おはようございます!お身体の方は大丈夫ですか?」



廊下で会った同じ使用人達。
口々に心配の声がかかる。



『おはようございます。私はもう平気ですよ。熱も下がりましたし』



術後、私は高熱を出したと菊から聞いた。
菊はアーサー様と交互に私の様子を見ていたらしい。
菊が言い出さない限り、アーサー様は付きっきりで看病をしていただろう。
そういう人だ。



『では私はアーサー様を起こしてきますね』


「朝食の準備しておきます!」


『よろしくお願いします』



私は姿勢を正してアーサー様の部屋へ向かった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ