マクロス腐小説
□矢アルA
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「アルト、大丈夫だな?」
嵐蔵はそういうと、アルトを睨み付けるかのように見下ろした。
「は・・・い」
アルトは反抗の眼差しを分かるかわからないか、という程少しだけ嵐蔵に見せた後、眉間にしわを寄せ、うなずいた。
「なら、稽古の準備をしなさい。」
ぱしんとアルトの上に置かれた手は、アルトには痛く感じる。
今日から矢三郎が舞台で、遠くに行ってしまう。 たった三日間で帰ってくる・・・それなのにアルトは寂しくてたまらなかった。
兄さんの優しい口調、細くて綺麗な手、全てが、何もかもが恋しかった。
アルトは泣きそうになるのをこらえて、稽古をしていた。
「・・・・・今日の稽古はなくていい」
嵐蔵はアルトと決して目をあわせず、言った。
「え・・・・・?」
「今日のお前はなっとらん!」
そう言うと、アルトをにらみつける。
こうなった父親はどうしようもないので、アルトは仕方なく稽古場を出て行く。
自室にこもると畳の匂いが、自分を落ち着けてくれるようで、少しばかり気持ちが安らいだ。
「兄さん・・・」
そう呟いたアルトは、矢三郎と秘め事をした日を思い出す。
「・・・・・早く・・・帰ってきて・・・」