オリジナル

□オリジナル@
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奏太はいつも通りに家に帰って自分の部屋に入って新発売で買ったばかりのゲームを親が仕事にいってるのを喜びながらしていた。

部屋には兄の部屋から流れ込んできた本が一杯で、どことなく息苦しい空間だった。

自分の兄、櫻は弟の自分がいうのもなんだったが、かなりモテてた。
母親もそれにはすっごい満足してて自慢の息子みたいだ。頭も比較的いいし、明るいし、スポーツだってできる・・・
まぁかっこいいけど、比較される立場にもなってほしいものだった。

(まぁどうでもいいことだけど)

「よっしゃ!クリア!!」

無意識に声がでてしまうほどゲームの方に集中していたせいか、そんな考え事はどうでもよかった。

がちゃっ

「あ」

鍵穴に鍵を差し込む音が奏太の耳に入った。

「ただいまー」

兄の櫻だった。

「んーー、おかえりー」

ゲームから目を一瞬も離さずにわずかに口を動かして兄を迎えた。

「なに、奏太またゲーム買ったわけ?」

「そんなに頻繁に買ってねぇよ」

「・・・そう?」

「うん、ただこのゲームのシリーズだけが面白かったから継続してやってるだけ」

自分の部屋に勝手に上がりこんできた兄に奏太は見向きもしない。

自分の部屋、というより櫻のもう一つの部屋といった方がふさわしい位、櫻はいつも軽々と奏太の部屋に入る。


ぎっ・・・

櫻はベッドに寄りかかってゲームをしていた奏太の後に回り込むようにして、ベッドにあがってゲーム機を覗いて来た。

「なぁ・・・」

「あっ」

ゲーム画面にgameoverと表示される。

心の中で兄貴が喋りかけてきたから、と櫻のせいにしてからゲーム機の電源を落とした。

「なに?」

櫻の方向に体を向けると、じっと櫻を見つめた。

「奏太、ゲームばっかしててさ、女の子の話とか全く聞かないんだけど」

「っ・・・・・は!?」

(急になんだ、こいつ・・・)

軽く引きながら、真面目そうにこっちを見てくる櫻を睨む。

「彼女は?」

「・・・いないけど・・・」

精々馬鹿にしてろ、と深くその事実を認めないようにした。

「ふーん、奏太君はてっきり充実した毎日を学校で過ごしてるのかと思ってた」

「急に君づけとかヤな奴・・・そういう兄貴は彼女いるのか・・・?」

(墓穴を掘った・・・

こいつに彼女が居ない訳ない・・・)

心の中でとても後悔した。

「ははっ、何だ、奏太彼女いないからってムキになるなよ」

兄貴は俺を完璧に見下してた。

(屈辱的っていうか、恥ずかしいっていうか・・・なんかもう・・・)

「ゲームがエロくなくてお兄ちゃんは安心したよ」

「なっ」

エロゲをシリーズで買ってたらさすがにやばいだろうな・・・



「でも、興味はやっぱあるだろ?」

奏太の顔を覗きこむようにしていうと、クスっと笑った。

実の兄と何を話してるんだよ・・・
ため息をつきたくなった。

「そりゃ・・・ある・・・よ」

正直に告げると、何だか恥ずかしくなって櫻から顔を逸らした。

そうさせないように、櫻は奏太のあごに手を伸ばしてクイッと持ち上げてこちらを向かせた。

「んっ・・」

びっくりして声をあげると、櫻は不適な笑みを浮かべた。

「じゃあ、こういう事とかされたいんだ・・・?」
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