拍手お礼です!
--------------------
美しい景色を見た。
皆が空を指差していた。
わたしもつられて顔を上げた、その先にあった美しい景色だ。
太陽の眩しさに細めた目がそれを捉えた瞬間、光よりも強い感動が胸に込み上げた。
太陽の周りを囲む光の輪。
ああ、太陽はただそれだけで雄大なはずなのに、今、なおもこれほど神々しい姿を見せるのか。
しばらく目を離せずに、わたしは立ち尽くした。
「こんなところにいたんですか」
「L、見える?あれ」
わたしが指差すと、Lも眩しそうに空を見上げた。
「あぁ、日暈ですね」
「ひがさ?」
「ええ」
この美しい景色のカラクリを、この名探偵はちゃぁんとわかっていた。
「ふぅん・・・そっか 」
素直に感心した。
感心したけれど、わたしのこの胸に飛来したものは、そんなカラクリじゃあ説明がつかない。
ねぇ、わかる?
わかるかな、L。
わたしはそっと、空を向く横顔を盗み見た。
あの真円を描く奇跡は、まさに。
あなたそのもの。
あなたという存在を知ったその瞬間と、同じ感動が、今、たった今、わたしの胸いっぱいに満ち満ちていた。
美しい景色は、すなわちL。
あなた。
あなたなんだ。
「何ですかジロジロ見て」
こっそりのはずが、いつの間にか凝視に変わっていたわたしの視線に、Lは怪訝な顔を見せた。
「んーん、何でもないよ。ひがさ、だっけ?キレイね。ずっと見ていたい」
「・・・」
「でもこういうの、すぐ消えちゃうんだよね」
「・・・そうですね」
見ると怪訝な顔が、いつものニヤリに変わっていた。
「あなたがいれば、どんなものも等しく同じなんですけどね」
「ん?」
よくわからなくて、今度はこっちが怪訝な顔。
「たとえあの日暈が消えてしまっても、」
「うん、」
「あなたがいる景色はそれだけで、美しいってことです」
「・・・」
美しい景色を見た。
皆が指差していた空からはもう、あの神々しい輪は消えてなくなったしまったけれど、わたしの目の前には、その美しい景色が存在していた。
それはLの見える景色にも、同じ事が言えるらしい。
そう、そうねL。
それならわたしたち、ずっと一緒にいなきゃね。
そう言ったら、Lは眩しそうに笑った。
Thanks!!!