story1
□七夕に
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今年も七夕の季節がやってきた。
7月7日。
たった1日、彦星と織姫が会うことを許される。
毎日毎日、二人は何を思って過ごしているんだろう。
その日のために、愛する人に会うために、毎日どう過ごしているのかしら。
「耐えられません」
そんな事を考えてる私のすぐ後ろで、Lの不機嫌な声が聞こえた。
私は一瞬、2つの哀れな星たちの事を言っているのかと思ったのだけれど・・
「暑すぎます」
どうやら違うようだった。
「L〜外から涼しい風が入ってくるじゃない?」
「涼しい?私には生ぬるいとしか感じられません」
「もう〜」
Lにとっては、日本の蒸し暑い夏は耐え難いものみたい。
だけど今日は譲れなかった。
「一体どうしたっていうんですか?突然窓を開けようだなんて・・」
「んー?いいからこっち来て座ってよ」
私は彼に向かって手招きをする。
いつもはエアコンで快適なはずの部屋。
その部屋の窓はすべて開け放たれ、(彼の言うところの)生ぬるい風に、きれいなカーテンが揺れている。