story2
□墜ちる
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キラリと光る、左薬指の指輪。
今、私の左手を掴むあなたの白くて細い指がゆっくりとそれを外していった。
「・・・」
私はそれを黙って見ていた。
頭では分かっている。
それは、その指輪は結婚の証。
私はたった一人の男性と、将来を誓いあったというのに。
それを自分は裏切るのか。
しかし心はそれを・・・
信じられない。
私の心はそれを喜んでいたのだ。
「L・・」
私は彼の名を呼んだ。
彼は私から奪い去った指輪を摘んで、私を見つめた。
「これで、今のあなたは」
彼の摘むその指輪は・・
「誰のものでもありません」
床の上を、転がっていってしまった・・・