story1

□七夕に
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Lは口を尖らせ、それでも私の側へと来てくれた。

こういうところが、Lの可愛いところ。


不機嫌に私の隣に座ったLに、私は身を寄せた。

「どうしたんですか?」
「Lは、今日が何の日か知ってる?」

いつもより甘えん坊な私と、その質問に彼は首をかしげた。

「今日ですか・・?今日は何日でしたっけ?」
仕事ばっかりで、暦の感覚すら失っているLに、今度は私が口を尖らせた。

「もう〜Lは日付すらわからないの?」
「日付を知らないからといって、私の日常生活に支障はありません」

もう、と再びつぶやいた私は、今日が何の日か教えてあげることにした。

「今日は7月7日。七夕だよ」
「・・ああ、なるほど」

Lは私の一連の行動に、納得したようだった。

「星が見たかったんですね?」
「そう」

Lはそっと私の手を握った。
「言ってくれれば、もっと眺めのいい場所に連れていくこともできたのに」

私と同じように暗い空を見上げて、Lはそう言ってくれた。

「ありがとう。ふふ。でもね、私はここでいいの」
「?」
「いつも一緒にいる、ここで星を見たかったの」

私の言葉に再び首をかしげるL。

「どうしてですか?」

私は顔を上げて彼を見た。
「Lが私の隣にいるんだなって実感できるから」
「そうなんですか?」

とっても不思議そう。

「うん、日常から離れた場所に行くと、なんだかLも一緒に消えてしまいそうだから・・」

私は目を伏せた。
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