せかんどあくしでんと!

□アダムとイヴ
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カ「アダムには会えないのか?」
イ「…帝は本島にいらっしゃるが…明後日になれば会えるかもな」
ル「なんで明後日なの?」
イ「この遺跡には緊急時のシャトルがある。明後日で最終調整が終わるんだ」
カ「ほう…じゃあ明後日にはアダムに会えるのか?」
イ「言っとくが、本島行き専用の為に自動操縦と設定されているからこれでは帰れんぞ?」
ル「帰るつもりはないよ……」

最終調整には遺跡全体の力が必要なので内部には入れないらしいのでとりあえず帰ることに。
話に苦笑して返すルナ。
何か計算らしきものを頭で行うカオル。
三人よりずっと前を歩くメノリは眉間に皺を寄せたまま早歩きで進んでいた。
ふ、と振り返る。
イヴィニティは反射的に顔を上げた。
なびいた青い髪の向こう側はやはり顰め面。

メ「遅いッ!さっさと歩け!!」
イ「…すまない…」

ル「カオル…」
カ「ああ…アダムを思い出すな、少し歳が違うがな」
イ「帝も私と似たようだったのか?」

ルナは一年前を思い出す。
可愛らしい仕草が頭に浮かび上がってきて、くすりと笑う。

ル「そうよ、最初は喋れなかったからもっと性質悪かったけどね。ただ単にツンデレなだけ…」
イ「…ツン…で?……なんだって?」

イヴィニティの隣でカオルもきょとんとしている。
疑問のまなざしを受けてつい発してしまった言葉に後悔する。

ル「…知らないなら知らないで下さい…」
カ「気になるのだが」
ル「気にしないで下さい」
イ「ルナぁ〜」
ル「アダムの声真似しても無駄です」

シャアラから聞いた単語…使い道間違った?と変な事を気にするルナ。
そう考えていると上から声が降ってくる。

メ「遅いと言っている!」

いつの間にか崖に戻ってきていたようで。
崖の上を見上げるとメノリが既に上がっていた。

ル「今行く!イヴィニティ、こっちにおいで。……イヴィニティ?」

滝の裏の通路に連れて行こうとするが、イヴィニティは動かずに崖を見詰めていた。
カオルを視線を送ると、カオルも不思議そうな顔をする。

カ「どうした?」
イ「面白いもの、見る?先に登ってて」

カオルを振り返って全く意味不明な言葉を発する。
ルナとカオルが再び視線を合わせる。

イ「大丈夫、この島の地理くらいは知ってる。登れるから。」
ル「そう?じゃあ気をつけて来てね?」
イ「ああ」

光る笑顔で答えるイヴィニティ。
少し心配だが2人は滝の裏に回って登りだす。
崖の上から見下ろすとイヴィニティはまだ下にいた。

ル「イヴィニティー!」
イ「…登れたらしいな。行くよッ!」

イヴィニティはその場から数歩下がる。
ルナは顔を強張らせる。
 …もしかして…。

イ「…ッ!」

助走を付けて少なくとも20メートル以上はある高さの崖に向かって走り出す。
崖に向かって飛び上がり、足場を見つけてはジャンプを繰り返す。
数秒後にはルナの目の前に着地を決めていた。

イ「……っ、とぉ。…ね?面白いでしょ?」


カオル以上…?と思わずにはいられなかったルナは言葉を無くした。
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