海からの探し物
□陸での出会い
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「ミルダ!」
ルリィのお墓の前に彼女はいた。
ミルダはルリィ在世時、ルリィが陸に上がる前まで彼女付きの侍女だった。
だが、今はシーラの侍女だ。
昔からルリィとはよく遊んでいたので、その時から世話など見てくれていたので、シーラにとっては侍女というより、もう一人の姉と言ったほうがしっくりとくる。
真っすぐ、肩までの長さの灰色髪が揺れ、こちらに振り向く。
「シーラ様…」
物思いにふけていた彼女が、こちらに気づいてがシーラの名を呟いた。
ミルダのそばまで行ったシーラは息を整えてから、自分が今まで考えていたことを打ち明ける。
「あのね私、今日から15歳になるでしょう?ずっと心に決めてたの、15歳の誕生日がきたらルリィ姉様の遺品を、私も探しに行こう!てね。」
まるで、とっておきの秘密を打ち明けるように…。
シーラの言葉を聞いたとたん、いきなり表情が厳しくなり、眉間にシワがよる。
「シーラ様!なんてこと言うんですか。そのようなこと危なすぎます。第一奥様方が許すはずがありません!」
「だからヒ・ミ・ツなのよ〜」
少しすねたように言う彼女にミルダは頭をかかえた。
「どうして、そのような危険なことをしようとするのですか。」
「だってね、私だってルリィお姉様の遺品を一刻でも早く見つけたいのよ」
少しシュンとした様子の彼女に、ミルダはとりあえず話しを聞くことにしたようだ。
「――このお墓には、ルリィ姉様の遺骨はないでしょう。だって、姉様の身体は泡になってしまったのだから…。けど、姉様が陸に上がってから、肌身離さず身につけていた<五真珠>、あれなら姉様の遺骨のかわりになると思ったの。――だから、私は陸に行きたいの!自分勝手な願いだと思うわ。けど、どうしても[ここに]姉様が生きたという、確かな、目に見える存在が欲しいの!」
その真っすぐすぎる瞳を向けられ、昔を思い出すミルダ。
(――本当によく似てる)
外見はものすごく可憐なのに、その瞳には、揺るぎない意思をこめている所がとくに。
「でしたら私にも同行を許してさい。少しぐらいなら私にもお手伝いできるかもしれません。」
必死にこちらを見てくるミルダにシーラは、
「最初からそのつもりよ、ミルダ。」
そう言ったシーラの瞳には決意がみなぎっていた。