海からの探し物
□真珠の輝き
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「ミルダ〜、ここらもなさそうよ。」
白い砂浜で岩の隙間、石の裏、砂の中などを掘り起こしていたシーラがミルダに声をかける。
それと同様にミルダもそんなことをしている最中だった。
「そうですね、なかなか見つからないですね。手がかりもないですし‥‥。」
それめそのはず、三年前から陸に来て探していた同僚たちも、見つけることはおろか、手がかりすら見つけていない状況なのだから。
「仕方ないわよ。私たちはつい最近探しはじめたばかりだもの。」
それはまるで自分に言い聞かせるよう。
「そう、ですね。それはそうとシーラ様、波に気をつけて下さいな。水を頭からかぶると人魚の姿になってしまうんですから。」
「わかってるわ。それを言うならミルダでしょ?」
ミルダは一瞬ぽかんとしたが、シーラと目が会うと二人ともいきなり笑い出した。
シーラにとって、ミルダは二人目の姉のような存在。
そして、それはミルダも同じようで、ミルダにとってはシーラは妹であり、自分の使える主というような存在。
しばらくして笑いが収まった頃にシーラがぽつりと呟く。
「ここなんでしょ?ルリィ姉様が陸にあがった場所‥‥。」
「はい。」
「どんな気持ちでこの地を踏んだんだのかしら。唄うことはおろか、喋ることまでできなくなってまで手に入れた足にはどんな価値があったのか私にはわからないわ。」
王子はルリィが人魚だったと知ったら殺していたのだろうか?
亜人として‥‥
元は同じだったのに‥‥‥。
自分はその頃15歳にも満たなく、幼かったので王子の顔は知らない。
だが会って言いたいことはある。
“三年前に消えた女性を覚えていますか?”
これだけでいい。
ただこれの返事が聞きたい。
返答によっては自分は王子を一生怨んで、憎み続けるかもしれない。
「そうですね。私にもわかりません。ですが、ルリィ様は大好きだった唄まで唄えなくてもいいと思い、足を手に入れました。なのでそれが答えなのだと私は思っています。」
「……そう。」
それから二人は黙って黙々と海岸を詮索したのだった。