海からの探し物
□陸での出会い
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今日で私も15歳。
ルリィ姉様と同じ……。
陸へ、遺品を探しに行った皆も、まだ見つけられてないと聞いた…。
残り4つ
私も、今日から陸へ行ける。
出来ることなら、どうか…
――――――――――
透明に透き通る水。
光りが水の底にまで届いて波を映している景色。
そうでなければここが水中だとはわからない。
行き交う魚達は群となって泳いでいく。
私はそんな風景が好きだ。
肌をなでてゆく水の流れ――
それは優しく、気持ちいい。
だが、私は今はそんなことも気にならないほど急いでいた。
「ミシア姉様、ミルダ、どこにいるか知っている?」
シーラは、向こうから泳いできた3歳年上のミシアに、早口に尋ねた。
水中をかくのは、人間のような二本の足の代わりに付いているのは、魚のように鱗の付いた尾鰭。
だが、それは下半身だけ。
上半身は人間と同じ。
「シーラ、どうしたの?今朝から様子が…」
「姉様、私、今急いでいるのよ!」
姉の言葉を強い言葉で遮った
ミシアは妹シーラをまじまじと見、戸惑いながらも教えてくれた
「ミルダならルリィのお墓に行ったわ。私は母様達と一緒に皆で、午後から行く予定。シーラは今から行くの?」
「ええ、そのつもりよ」
「なら、行っておいで。ルリィも喜ぶわ。もう、あれから3年もったのね。あなたもちょうど15歳。だから、私からあげるわ。はい、これ」
ミシアが掌から差し出してきた物は、真珠が中心にできているアクセサリーだった。
ネックレスやイヤリング、ブレスレット、そして指輪…。
イヤリングは対で数えなければ、全てで五つになる。
人魚は15歳となると、身内の誰かから<五真珠>を送られる。
<五真珠>とは、人魚にしか取ることがゆるされない神聖な真珠のことだ。
おそらく人間は、このような真珠があることは全く知らないだろう。
「姉様、今くださるの?」
シーラは少し戸惑ったように言う。
だって…
今ここでこれを渡したら、私がみんなの許可なく陸に行くかもしれないのに…。
「そうよ、だって貴女は三年間待ちわびていたでしょう?」
この日を、と姉はそう言って苦笑した。
それから一呼吸置いて表情を引き締める。
「貴女は早く行きなさい!お母様達は私が何とかしとくから、ね?」
「姉様…。どうして?」
「そりゃ、可愛い妹が三年間ずっと願い続けてきてたことなんだもの。叶えてあげたくもなるわ。」
「ありがとう。…………行って来ます。」
後半部分は、ほぼ呟きに等しい。
後ろも振り返らずに急いで進んで行っているシーラにミシアは黙って見送ることしかできなかった。