短編
□樺地くんとバレンタイン+跡部様
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氷帝学園3年生、名字名前。一世一代の大決心だ。
今日は何とバレンタイン。
そう、日本では好きな男の子にチョコレートをあげる日だ。先程から探しているのにいない、大好きなあの人。
はあはあと息を切らしながら角を曲がると、そこにいたのはすらりと高い背、綺麗な茶髪に引き締まった身体…の跡部様だ。
確かに跡部様はおそろしくかっこいい。あんなに綺麗な人を私は見たことがない。TVに出てる芸能人何か目では無い。ギリシャ神話のゼウスとか言ってしまうのも分かる。
跡部…様に駆け寄る少女を見て、また雌猫かと思った跡部様だったが、かけよった先は彼の隣の樺地だった。
「樺地くん!」
「…?」
大量のチョコレートを抱えながら不思議そうにする樺地くん!
とてもかっこよくて思わず腰が抜けそうになった。
優しい瞳。大きな身体。優しい心。
彼が、好きだ。
「あ、の、チョコレート…です…」
樺地は驚いたように目を見開いき、お礼を言った。
「…ありがとう…ございます」
大量のチョコレートの上に乗せればいいのだろうか。真っ赤になった顔で考える。すると、跡部様が樺地の持っていたチョコレートを半分自分で手にし、「樺地、受けとれ」と命令をした。またもや驚いたような顔をした樺地だったが、礼を言って名前のチョコレートを受け取った。
「バーカ、礼をいうことでもねえ。
それよりお前、見る目があるじゃねえの」
口元を上げた跡部様は、「行くぞ樺地!」と言って樺地くんと去っていった。
小さく会釈をした樺地くんに心臓のばくばくが止まらなかった。
それと跡部様、ありゃあモテるわな。