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□アオイアヤマチ
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「あ、あれ書いた?」
「あれって?」
山本はこっちをみることもせずに返した。
「進路希望調査っ」
そういうと、
あーーーー……と唸るようにしてから、
「まだに決まってんじゃん」と答えた。
「あーやっぱり?」
「…わかってんなら聞くなよなぁ」
(山本は野球しかできねぇからな)
わりぃ、と笑みを込めて謝罪。
「あ、でもっ」
山本は勢いよく体を起こす。
「なに」
「将来、どんな仕事してっかはわかんねーけどさ」
首をひねって俺のほうに顔をむける。
「またみんなで
野球したいよなっ」
にかっ と歯を見せて笑った。
「――だな」
そんなふうに言うのはこそばゆい気がしたけど
あっさり同意の言葉が出てきた。
もちろん、笑顔が付き添って。