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□アオイアヤマチ
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カキーン
金属音がなって
青い空に、白いボールが飛んだ。
「いったぞ角田ぁ!!」
(言われなくてもわかってるよ!)
見失わないようにボールをみつめ 眩しい光に眉を寄せながら、俺はボールを追った。
追って追って追って。大きな球場の中。あんな小さなボールだけを睨む。
9回表 2アウト 0対3
高3の夏 最後の県大会
負けていたって、関係なく必死で。
届くか
届かないかじゃなくて
(捕るんだよ!!)
バッと膝を使ってとびついた。舞った砂が目に入る。擦れた肘が痛かった。
「ナイスレフトォー!!」
「!!」
ボロボロになったグラブに、白いボールが入っているのをみたら
「っしゃあ!!」
疲れも痛みも吹っ飛んだ。
たぶんもう二度とあんなに力いっぱいガッツポーズすることはない。