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□バレンタイン
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「げっ、何だこれ」
静まった教室の中で、不満げな声をあげたのは、クラスでも紅一点の不良少年と言われる高杉晋助だ。
「どうした?」
その様子を、横から銀髪頭の少年が坂田銀時が伺っている。
「…見ろよ」
すると高杉は、机の中を指さす。
「うおぉ〜すげー」
覗きこむと、机の中パンパンに詰まっている、ラッピングの数々があった。
「なる程な〜高杉近寄り難いから、こうゆう風に渡す女子が多いのか〜これは、靴箱の中が楽しみだな♪」
「……」
甘いものが苦手な高杉を知っているくせにワザと言う銀時を無言で睨んだ。
「早くその光景を見てぇわ〜なあもう帰ろうぜプレイボーイ」
「…プレイボーイじゃねぇし、てかお前のこそ今年もかなり貰ってんじゃねぇのか?」
学校では、高杉は確かにモテるが、銀時だって愛嬌もあり人懐っこく、顔もわりかし良いため、学年問わず女子にモテている。
「残念ー俺は今年はゼロで〜す」
「!」
嘘だ、とすぐに高杉は思った。
「あっ!銀さんの鞄を何する!」
高杉は銀時のスクールバックを奪い中を漁る。
「まじでか…」
鞄の中には、それらしきものは一個も見つからなかった。
今まで銀時がバレンタインに何も貰わなかったことは一度も無いことを知っていた高杉は、哀れみの表情を浮かべ、銀時の肩にポンッと手を置いた。
「…何この手、めっちゃムカつくんですけどぉぉー!!止めろ哀れみの視線を俺に向けんな!そんな目で見んなぁぁー」
「…しょうがねぇな」
高杉は自分の鞄をあさり綺麗にラッピングされたものを取り出した。
「ほらこれや…「いるかぁぁー!!人が貰ったものを貰うとか、一番ツラいわ!あっ何か涙が…」
泣き真似する、銀時を見て高杉は溜め息を吐く。
「おい」
「…何だよコノヤロー」
「おら受け取れ」
すると高杉は先ほどと同じラッピングを懲りずに銀時の前に突き出す。
「だーかーらー!!人から…「貰ったもんじゃねぇよ」
「…へっ?」
銀時は、呆けたまま無理やりラッピングされたものを手に持って突っ立っている。
高杉はニヤリと笑うと、銀時の耳元で口を近づけた。
「なぁ…銀時ぃ…」
「たっ…高杉?」
「他の女からのものを、全部断るのも結構だがなぁ…」
「!」
「俺のだけは断らずに、有り難くもらえよ?」
そう言って立ち去って行く高杉の背中を呆然と見ていたが、その背中が見えなくなると笑みを浮かべた。
(…途中からバレちまったみてぇだけど…
…本命チョコゲット♪)
end →解説です