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□髪型
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「お前髪伸びたな」
「あ?」
万事屋のソファーで寝転がりながら、煙管を吸っていた高杉は、社長椅子に座る男に目だけを向けた。
「かーみ、暫く切ってねぇの?」
「…」
その言葉に、高杉は手で自らの髪の長さを確かめるように触る。
確かに、前より後ろ髪が長くなったように感じた。
「まぁ伸びるだろ…忙しくて切ってる時間無かったからなぁ」
「…」
「‥何だよ」
じ〜っと見つめてくる銀時の視線に、高杉は眉をひそめる。
「いや、高杉さ‥」
「あ?」
「何か…可愛いな」
「……はぁ?」
「いや、てかいいなその髪型、前の旋毛が丸見えのも色っぽかったけれども、今のちょっと長めなのも捨てがたい‥」
席を立ち、高杉のいるソファーの腕の部分に座った銀時は艶やかな黒髪に指を絡ませた。
「触んな、変態」
「ちょっ‥酷くない!?褒めてんのに!」
「嬉しくねぇよ、仮にも男だぞ」
「…」
仮にもも何も正真正銘の男なのだが、そのセリフが出てしまうのは、長年の受けをやってきた性なのだろうか。
銀時は何も突っ込まなかったが、少し後ろめたくなった。
「いや〜それにしても髪伸びてさ…」
「…」
「何か前よりも更に美人になったよね〜」
「!?」
「近くで見るとよく分かるし、やべーなこれは、ちょっとこのまま髪伸ばしてくれね?」
「…」
「それで結べるぐらいに伸びたら、簪買ってやるから、それ着けて女もんの着物着て…あっもう着てるわ、や〜想像したら興奮してきた!」
「…」
「なぁ頼む伸ばしてくんね?ヅラみてぇに長くしてくれたら、マジやばいと思うんだけど」
「……明日から俺、坊主にしてくるわ」
「えェェェェ!?真逆なんですけどぉぉ」
「るせぇな‥いや待てよ、むしろ侍はちょんまげだよな。よし明日から俺も‥」
「うわぁぁぁぁっ!!!止めて下さいっ!お願いします!」
泣きながら銀時は高杉の腰部分に飛びついた。
「ヤッパリ高杉は黒髪ショートが一番萌えます!似合ってるから、ちょんまげだけはっ「‥冗談に決まってんだろ」「へっ?」
離れろ、と腰にしがみついている銀時を引き剥がす。
その言葉に銀時は半泣き状態だが、笑みが戻ってきた。
「あ‥よかったぁぁ!!も〜晋ちゃんたら〜冗談はほどほどにね〜」
「…‥てめぇが‥」
「ん?」
何やら言いよどんでいる高杉の顔を見る。
「‥せっかく‥伸ばしてやってもいいって‥思ってやったのに‥髪」
「晋?」
「テメェが‥ヅラのこと出してくるからっ‥」
「…」
もう絶対伸ばしてやんねからな、と言うと高杉は、そっぽを向いてしまった。
「…」
その姿を銀時は見つめる。
「何だよ‥じろじろ見んなっ‥てっうわぁ!?」
瞬間、高杉は銀時の中に包まれていた。
「ぎんっ‥」
「も〜そこでデレ出すとか反則!!」
「はっ?デレ?‥あっ‥テメェ‥どこ触って‥!?」
「まあ、てかアレだよな、結果的に黒髪ショート&ツンデレ高杉は最強だよね〜」
「はっ‥ん‥やっと‥気づいた‥かよ」
「知ってたよ?前から〜、まあ何にせよどの道さ‥」
お前には惹かれてたけどな