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□奪う4
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彼は愛しそうに俺の頬に触れる。
(高杉‥愛してるよ)
(銀‥八‥おれm‥…)
「うわぁっ!?」
深く被っていた掛け布団を勢いよくあげた。
辺りを見渡してみると、殺風景な部屋には窓から光が射し込む。
「…夢か‥」
チュンチュンと雀の鳴く声を聞きながら、高杉はベットの上で呆然としていた。
ぼうとしていると、徐々に夢の内容を思い出してきて、顔がみるみる赤く染まっていく。
(クソっ‥なんつー夢見てんだ俺!)
くしゃっと前髪を無造作にかきあげると、ベットの上から降り、学校の準備を始める。顔はまだ赤いままだ。
(女じゃあるめぇし、あんな女々しい夢をこの俺が‥つーかアイツのせいだろ!いいっつてんのに、無理やりバイクで送るとか‥強引なことしやがるから!)
アイツとは、勿論銀八のことだ。
昨日保健室で寝ていた高杉をバイクで、ほぼ強制的に家まで送った。
しかし、高杉は余計心が落ち着かなくなった。
(‥両親が余り家に居ないってのに同情したのか?)
何やらイライラしてきた高杉は家のドアを勢いよく閉め、学校へ向かった。
(あ〜眠ぃ〜)
一方、高杉のイライラの張本人である銀髪の男は、如何にも眠そうな顔で駐輪場にバイクを止めていた。
(…それにしても、高杉今日来っかな〜、具合悪いとかじゃねぇとは言ってたけど‥しかしアイツんちデケェな〜あそこの中にいつも1人でいたんだよなぁ)
保健室で寝ていた高杉を強制的にバイクで家まで送った銀八は、家に帰ったあとも彼のことが気にかかっていた。
(あんな切ない顔するんだもんなぁ、何かほっとけねぇんだよ…)
銀八は考えながら、校舎の中へと入って行った。