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□夜桜
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そろそろ約束の時間だ。

高杉は時計を見ると、腰をあげ準備に取りかかった。




そのころ、万事屋では

「お〜もうこんな時間か」

ソファーに寝っころがっていた銀時は、腰を起こして出掛ける準備を始めた。

「銀ちゃん、どこ行くアルか?」

既に、隣の部屋で寝ていた神楽は銀時の準備する音に目が覚めたのだろう。
片目をこすりながら、眠そうにやってきた。

「ちょっとな…野暮用だ。」

「こんな夜にアルか?そんな不良息子に育てた覚えはないネ!」

育てられた覚えもないっつーの、といいながら銀時は玄関に向かった。

「朝までには帰ってくるから、鍵はちゃんと締めてくから、気いつけろよ〜」

いつもなら無理にでも着いていく神楽だが、よほど眠いのか
「了解ネ…」
とアクビをしながら戻っていった。



「晋助様、こんな時間にお出かけっすか?」

後ろからの声に高杉は振り向いた。

「あぁ…また子か、まだ起きてたのか」
「はい!訓練してたっス!晋助様、もしお出掛けなら、自分が防衛でつきますけど‥」

その言葉に高杉は、少しふっと笑うと

「いや、ちょっとの野暮用だから、いい」
と言って足早に出掛けていった。


時刻が12時まわるころ、橋の下で、銀時は思い人を待つ。

持ってきた腕時計の針を見ながら、心でカウントダウンをしていた。

(‥3、2、1‥)

「よぉ」

ゼロと心で呟いたと同時に後ろから、声を掛けられた。

銀時は、その正確さに笑いながら振り向く。
「よぅ‥」
「何笑ってんだよ気持ち悪りぃ」

高杉は眉をしかめて睨んできた。

それさえも、愛しくなってしまう。

銀時は優しく笑うと
「わりぃ、考え事してた。まあこんな綺麗なお月さん出てる夜だぜ?楽しくいこうや」

無防備な銀時の笑顔に高杉は、うっとなる。
銀時の優しく微笑む姿に昔から弱いのだった。


「…まあ、許しやるよ、それより酒はあんのかぁ?」

「あたりめぇだろ?」
そういいながら銀時は手に持った袋を前にだした


2人は橋から離れ土手沿いを歩く

少し先に行くと、暗闇の中で浮き出ている白い花を咲かせた木々が並んでた。

「お〜咲いてんなぁ」

その幻想的な白い花と暗闇のコントラストにしばしば、2人は見とれる。


「‥一番良いときだなぁ、散りぎわだ」
そういいながら高杉は目を細めて、見とれている

「はぁ?一番いいのは、満開のときだろ〜」
そう言う銀時を見て高杉はクスッと笑った。
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