過去拍手

□父の日
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<最遊記:三蔵>





「私、悟浄と結婚することにしたの」





食事中、目の前に座る娘の口からとんでもない一言が出た。
あまりに突然で流してしまうとこだった……
危ねェ真似させやがる。





「オイ、どういう意味だ」

「そのまんまよ、パパ。悟浄と結婚するって言ったの」





ごじょう?
五条?五畳…?五錠……――

Σッ!!! 悟浄!?

あの脳内まっピンクの万年発情期男のことか?
いやいや、悟浄は悟浄でも違う悟浄かもしれねェ、うんそうだろう。





「パパ、先に言っとくけど、悟浄は悟浄でも沙悟浄だから」

「……つまり?」

「パパの腐れ縁の、あの沙悟浄だから」





ガンっと茶碗を置いて立ち上がる。
どこ行くのかと問う娘の言葉は聞かなかったことにして、目指すはあの辺ぴなとこにある家。
今でも八戒と住んでる、あの家だ。





――ドカンッ!!!





扉を蹴破る。
いらっしゃい、と笑顔で出迎える八戒を無視し、シャワーの音がする浴室へ。





「八戒か?一緒に入りてェなら構わねェけど、俺にそういう趣味はな……」





――カチリ





こっちに背中を向けて髪を洗ってる悟浄。
その背に冷えたそれを突き付ける。





「何か御用ですか、三蔵サマ」

「死ね」





――ガウンッ!! ガウンッ!!!





「ちょ、まっ……危ねェ、当たるって!」

「当てるつもりだ、心配すんな」





銃声を聞きつけて八戒が止めに入るがもう手遅れだ。
こいつを殺す。今すぐ殺す。
そうじゃなきゃ俺の神経が持たん。





「三蔵!てめっ、何のつもりだ!!」

「俺の娘に近付いた罰だ。今ここで殺してやる」

「ちょっと待て!俺が何したってんだよ」

「分からんでいい。死ね」

「いやいや説明しやがれ!!」

「娘がテメェと結婚するとか言いやがった。これで説明はすんだ。潔く死ね」





その時だった。
背中に感じる冷たい感触に思わずひやりとする。
見ればそこには俺と同じように銃を突き付ける娘が一人。





「パパ、何してるのかな?」

「……悟浄を庇うのか?」

「当然。だって私の旦那様になる人だもの」

「……(やっぱり死ね)」





――ガウンッ!!!










「おわっ!?」





変な声に驚いて目を開けた。
そこには壁に背中を縫いつけられたような格好の悟浄。





「…………」

「寝ながら銃ぶっ放すんじゃねーよ!」





……夢、か。

悟浄が張り付いている壁には、僅か数センチのところに銃痕。
まさかの夢オチに溜め息が零れた。
しかしだ、よく考えろ。
俺には娘もいなェし、結婚もしてねェじゃねーか。
しかし、手にはしっかりと銃が握られていて……





(一回殺しとくか……)





ゆっくりと、これから敵になるかもしれない男に向かって足を進めるのだった。





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まさかの夢オチです(*`ω´*)
どっかで似たようなネタがありましたが、気にしたら負けですよww

娘が結婚するってことは、三蔵サマは一体いくつ?
いや、あの人は歳を取りませんよ、きっと。
取ったとしても、素敵なんですハイ!





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