献上品
□そこにある風景
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それは、一仕事終えた時の事。
何となく集まった俺の部屋で、最初に口を開いたのは淵だった。
まだ太陽も高い、心地良い風の吹く陽気だというのに。
「でさ、悲しそうな女の歌声が聞こえて来るらしんだ」
巷で言う怪談話だった。
何処でそんなのを拾って来るのか、淵はこういう話が好きだった。
人一倍怖がりのくせに。
「ほう、この宮の西の井戸にのう」
「どうせ誰かの聞き間違いだろう」
二人共夢がないな〜と淵。
お前が噂に惑わされてるだけだと言う事を理解しろ。
「なっ!今からそこ行ってみよーぜ!!」
そんな唐突な意見に賛成する孟徳と、イヤイヤ面倒事に付き合わされる俺なのだった。