過去拍手

□彼と彼女の御話
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<猿飛佐助と彼女の御話>





縁側で昼寝を決め込んでたら、こそこそと何者かが近付く気配。
近付いてはコチラに視線が向き、再び近付いては視線が向く。
そして、それは俺の横でピタリと止まる。





(相変わらず可愛い気配なことで)





ジーっと見つめ、髪の毛に触れて来る。
その後で今度はパンパンと俺様の服をアチコチ叩き始めた。
最初こそこっそり叩いていたものの、もはやそれは痛いと言ってもいいくらいに。





「あのさ、もうちょっと大人しくしててくんない?」

「さすけ、からすは?」





時折、俺様が呼び出すあの黒い鳥。
あれに最近は興味津々のお姫様。





「今はお昼寝中♪また後でね」

「じゃあ、わたしもおひるねする」





よっと俺様の腹の上にのし上がり、胸の上にペッタリくっ付いて寝る体勢に入った。
これじゃ、何かあった時すぐに対応出来ないじゃん。

もう、旦那といい、姫といい……
こうなったら最後の手段。






「そういやさっき、旦那がお団子食べるって言ってたかな〜」

「おだんごぉ!?」





瞬間キラキラと輝く瞳。
そして小さな耳と尻尾がぴょこんと生えた……ような気がした。
このまんま昼寝させて欲しいなぁ〜なんて思ってたのに、その希望はあっさりと崩壊する。





「さすけっ、つれてって!!」

「一人で行きなよ」

「いやっ、さすけといっしょなの!!」





もっそりと体を起こして、小さな体を肩へと乗せた。
高い高いと人の上で騒ぎたて、時折髪の毛を引っ張る。
小さな紅葉のような手の平が、額に当たったり視界を遮ったりして結構邪魔だった。





「おおっ!やっと来たか。待ちくたびれたぞ佐助!」

「はいはい」





姫を下ろして真田の旦那に渡す。
二人並んで団子を口いっぱいに頬張っている姿は何とも一城の主らしからぬ光景……





「はい、さすけの!」

「俺様はいいよ、姫が食べなさい♪」

「だめ!あーん、して!」





そう言われると困る。
渋々あーんと口を開けて見せると、少し喉奥まで団子が入れられて少しだけむせた。
おかげで餡が口に付いたが、それを姫が自分の口でパクリと……
どうやら普段、旦那と奥方様がそうしている様子で、それを見様見真似でやってみたらしい。





「何とっ!!佐助、お主いつの間に我が娘とっ!!」

「いやいや落ち着こうね旦那。今のは不可抗力だから、そんなに大騒ぎする事じゃないから、ね?」

「我が娘の唇を奪うなど破廉恥極まりないっ!!覚悟ぉぉぉ!!」





その日は1日中真田の旦那に追い駆け回された。
後日……





「ふかこうりょくってなに?さすけ」





と聞かれたのは言うまでもない。





−−−−−−−−





幸村の娘もワンコだといいな☆
そして相変わらず佐助なしじゃダメだったり!
「佐助みたいな忍になる!」
「おお!それは頼もしい」
「いやいや、それはやめた方が……」
なんて会話が飛び交う平和な甲斐であって欲しいww





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