Maine

□卒業
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「ったく…あのイカ…」

三人で食事中の出来事。


鬼男が、深く溜息を吐いた。

「どうしました?」
「いや…まさか、本当に下界に遊びに来るなんて…しかも僕まで巻き込んで…」
「ま、いいじゃないですか。あの人の勝手さは、今に始まった事でもないですし」
「まあ、そうだよねぇ…」
「いや、確かにそうだよ?そうなんだけど…」

そう言うと、鬼男はぽつりぽつりと過去の閻魔について話し出した。



先ず、一番多いから最近諦め出してる事から…


『大王、そろそろ開廷で…』
『Σわっ!鬼男君!?』
『………………全て燃やしていいですかね』
『Σごめんなさいっ
  脱セーラーしますっ』
『今度着たら刺し殺しますからね』
『Σ御免なさいっ!!勘弁して下さいっ』


「……ああ、セーラーか…
  大変ですよね、鬼男君…」
「そうですね…
  貴方の場合は【次】が沢山あるから、閻魔さんも甘えるんですよ。
  いっそ殺してやるぐらいの勢いで…」
「Σいやっ別に良い!そこまでやらなくても!!それにあの人死ねないから!死んでるし転生もできないしっ」
「だから、その体質を上手く利用「あああああああああああええええっと!!鬼男君、話の続きお願いっ!!」
「…ああ……うん………;」

その他にも、片付け全くしないとか、あと何時も言うけど仕事しないとか、遊んでばっかとか、地獄の見回りも悪ゴメスさんの所に行くだけで、全然見回らないとか、そのクセ天国は異常なまでに時間をかけて全部回るとか…

なんだかとても苦労しているそうだ。


「で、妹子は?」
「うええ、僕ですか?」
「そうですよね。妹子さんもかなり苦労をされているでしょうし…
  太子さんの生態についても興味ありますね」
「まあなぁ」
「えええええっ…僕別に言う事ないんだけどなぁ…」
「ほお、もう太子さんのお母さん化している為、過酷な労働を過酷だと感じないまでに…」
「ち、違います!そう言う意味じゃないですってホント!」
「何かないんですか?もう何でもいいんで言ってください。」
「えーーー…じゃ、強いて言えば朝起きないとか……」





『ほら太子、起きて下さい』
『あと五分…』
『はいはい…五分したらちゃんと起きるんですよ?』
『うん…』



「そのパターンか。」
「ちょ、話遮らないでよ…話せとか言っといて…」
「あ、ごめん」
「でも、本当王道ですよね。後五分とか言っておいて、全然起きないとか。」
「それで15分経ったりとかな」
「いや、それは無いよ?」
鬼・曽「……え」

「いや、太子の場合は…」


『ほら五分経ちましたよ』
『はーい…もう…
  なんか……なんだかもう……ああ…嫌だ…』
『………………………………………………はあ?』
『いや…何でもないよ……
  はあ………』
『ぇええ…なんですか…気になるじゃないですか…
  それとも、僕なんかじゃ力になれない事ですか?』
『いや、そうじゃないんだけどさぁ……
  うん、いや、何でもないよ。気にしないで……おお!朝ごはん豪華ーーーッ』
『え、ちょ…話…逸らすな…』




「え……」
「朝は大体こんな感じなので慣れてきちゃって…
  溜息の理由とか、聞かなくなったんですけど、やっぱり気になるんですよね…」
「それは僕でも気になる…
  やっぱあれかな…昔の事とかで、なんかやり残した事とかあるんじゃないのか?」
「やり残した事…あの人がそんな事で毎日毎日、これ見よがしに溜息しますかねぇ」
「それもそうなんだよね。
  僕も一回鬼男君みたいに考えたんだけど、その後曽良君みたいに考えちゃって、結局分からず仕舞い」
「ふーん……大変だなぁ妹子も」
「コレと言った悩みは一つしかないので、鬼男君よりか楽だと思いますけどね」


暫くして。

妹「へー…河合も大変だね」
曽「そうなんですよ。もう朝起きなくて、何も食べて行かない事が多くて」
ヒュー助「成程…それで松尾先生が最近「息子(義理)が朝ごはんを作ってくれなくなった」って嘆く様になったのか…」
鬼「まあ、気持ちは分からんでもないけど…芭蕉先生が起きて来た時ぐらい、簡単な物でもいいから作った方がいいと思うよ」
妹「でも、僕は河合の気持ち分かるよ。
  食べるかどうか解らないものを作るのって嫌なんだよね。ラップしといてとか、帰って来てから食べるって言われるの、僕も大っ嫌いだもん。」
曽「と言う事は、小野君もそう言う経験があるのですか?」
妹「うん。太子が偶に全然起きない事とかあってさ。
  帰って来たら食べるとか夕飯にするとか言われたんだけど、そうやって使いまわすのって僕があんまり好きじゃなくて。」
鬼「その時、結局どうしたの?」
妹「ん、結局は無理矢理食わせたんだけど、遅刻した」
ヒュ「うわ…何と言うか…」
曽「そう言うのは、もう諦めて放置するしかありませんよ。
 後で責められても、朝時間が無い時に起きない太子先輩が悪いって言うのをちゃんと分からせてあげた方が、この後本人の為になりますし」
妹「そうかもね」






「ねぇ、どう思う閻魔」
「んー…入ってくるなと言うさり気ない部下男からのメッセージなのだろうか。」
「やっぱりそう言う意味かな?これ空気的に入っていけない…」
「ていうか鬼男君達切り替え早っ!さっきまで普通に話してたのに、ヒュー助入って来た途端に口調ガラッと現代風に変えたしっっ」


実は本人がドア一つ挟んだところに居るとは全く知らない部下組の、相談から悪口へと変わった上司組の悪い所発表会は、約3時間程続いたと言う。
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