リクエストSS

□沢田綱吉的休日の過ごし方
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清々しくも爽やかな晴天の今日は休日とあって当然学校は休みだ。
思い切り寝坊をして部屋でゴロゴロゲームに勤しもうか、でも散歩がてら外に出れば偶然買い物途中の京子ちゃんに会えるかもしれない。
沢田綱吉が考えていたささやかな休日の楽しみは、だが、早朝現れた年上のイタリア人にあっけなく壊される事になった。

「なーツナ、聞いてっか?」

「……はい」

このやり取りも今日で何度目だろうか。

「ほーんと恭弥には困ったモンだぜ」

まだ起き切らない幸せなまどろみをブチ壊す勢いで開けられた自室のドア。
リボーンやランボ、イーピン達の喧嘩かと思い飛び起きてみると、そこには悲壮な顔をした兄弟子でありキャバッローネファミリー十代目ボス・ディーノの姿があった。

「頼むツナ。俺の話を聞いてくれ」

真剣な表情と勢いに圧されすっかり目を覚ましてしまった綱吉は、着替える暇すら与えられぬままベッドに正座しディーノの話とやらを拝聴する羽目になったのだが。

(ただの痴話喧嘩じゃないか……)

ものの十分と経たずに綱吉はそれを思い知らされる事となった。
最初こそ、日常に於ける雲雀の乱暴かつ傍若無人ぶりや振り回されるディーノ並びにキャバッローネファミリーの面々に同情したものの、次第にディーノの話の中に『デート』やら『ホテル』やらの単語が混ざり出し『いい雰囲気になったから応接室でキスしようとしたらトンファーで殴られた』との一言をきっかけに、惚気なんだか痴話喧嘩なんだか愚痴なんだか分からない方向にシフトしたのだった。

「なーツナってば。ちゃんと聞いてっかー?」

「……は……い……」

「昨日だってさー」

それでも初めの内はまだ我慢出来たのだ。
学校まで会いに来ようと応接室で逢引しようと並盛町内でデートしようと構わない。
百歩譲ってホテルの部屋でお茶だの仕事が終わるまで待たせるだの、それも勝手にやってくれと思う。

けれど、

「イチゴのケーキが食いたいって言うから用意したのに、あいつイチゴ独り占めしやがったんだぜ。一個くらい分けてくれてもいいじゃん。だからあいつが口に入れた最後の一個を舌で取り上げたらブチ切れて殴りやがんの。ほんっとあいつ凶暴だよなー」

まあ、そんなトコも可愛いんだけど、と続けるディーノの言葉を聞き流す事も出来ずに綱吉はがっくりと肩を落とす。

(舌って言った!?今舌で取り上げたって言った!?指とかじゃなく舌なんだ!それどう考えてもキスしてるって事だよね!)

最早どこから突っ込んでいいのか分からない、というレベルですら、ない。
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