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□写真
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「ねえ。これ何」
雲雀がディーノに突きつけたのは、彼の携帯電話に表示された一枚の画像。
「何って。恭弥の寝顔」
「撮ったの」
「撮らなきゃ俺の携帯にある訳ねーだろ」
「隠し撮りなんて卑怯だよ」
「こそこそしてないぜ。ライトにもシャッター音にも気付かない程俺の傍は安心してぐっすり眠れる場所なんだな。嬉しいぜ」
「こんな写真撮られるなら安心なんか出来やしない。これ消すよ」
雲雀が操作するより早く、携帯はディーノに取り上げられてしまった。
「恭弥の写真、これしかねーんだ。仕事で疲れた時とかさ、これ見て気持ち落ち着かせると、よっしやるかって元気出んの。お前だって仕事の休憩中にヒバードやロールと遊ぶの、いい息抜きになるだろ。それと一緒。だからこのままにさせてくれよ。お願い恭弥」
小動物達との戯れを例に出されてディーノの気持ちが多少なりとも理解出来てしまった雲雀は、最後の『お願い』にとどめを刺されて、超消極的ながらも許してしまった。
けれど、釘を刺す事だけは忘れない。
「絶対他の人には見せないで」
「当たり前だろー。お前の寝顔見ていいのは俺だけなの。ほら、これでいいだろ」
ロックを掛けた画像フォルダーを見せられて、雲雀は渋々ながら頷いた。
「……危なかった」
その後一人になったディーノは、件の画像を転送し終えたパソコンのフォルダーを開いていた。
そこには寝姿のみならず、日常の隠し撮りからベッドの中の姿まで、ありとあらゆる雲雀の写真が保存されていた。
携帯電話に一枚だけ残っていた寝姿画像は、単に未転送だっただけだ。
雲雀に見つかったのが言い訳のきくあの程度のもので良かったと胸を撫で下ろしながら、ディーノは『allodola』と名付けたフォルダーを、ちょっとやそっとでは見つけられない階層深くに保存し直して、幸せそうな笑みを浮かべた。
2013.06.29(2014.05.06サイトUP)