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□2215ほのぼの
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「恭弥、そろそろ起きろ。ソファの上なんかで寝てたら風邪ひくぞ」
「……僕の眠りを妨げるものは何人たりとも咬み殺す」
「はいはい。後で幾らでも。待たせてごめんな。会いに来てくれてるの知らなかったんだよ」
「待ってない。あなたに会いに来たわけでもない」
そう言うけど、リビング内テーブルの上にある茶器の様子からは、雲雀が一人で長時間過ごしていたことが伺える。
退屈のあまり寝てしまったであろうことも。
どうしても外せない仕事だったとはいえ、ディーノは罪悪感を覚えないわけにはいかない。
「茶、いれなおそうか」
「いらない。それよりお風呂がいい。寝汗かいてる」
「じゃあ連れてってやるよ。身体も洗ってやる」
嫌がられるかと思ったが、雲雀は意外と大人しい。
バスルームに連れて行かれる間も、髪や身体を洗い終わりバスタブに浸かっても、じっとディーノの手に身を委ねていた。
もっともそれは、まだ半分眠っていたせいかもしれないけど。
結局その後は二人で夕食を取り、それぞれ思い思いに時間を過ごし、今は広いベッドの中だ。
「俺に会いに来てくれたんじゃねえの?」
抱き寄せると、雲雀はもぞもぞ動いてディーノの胸に頭を乗せる。
そこでももぞもぞ動いていたけど、どうやら収まりのいい場所を見つけたみたいで、ふうと息をついた。
「違うよ」
「じゃあ何しに来たんだ」
「お菓子食べに来た」
「あ?」
「それと、昼寝とお風呂と晩ご飯」
「それだけ?」
「あと、枕。この枕が一番寝心地がいいから」
そう言うなり、身を寄せた子供は仔猫さながら眠り込んでしまった。
あれだけ昼寝をしていたにも関わらず、だ。
「……もしかしなくても、その枕って俺の事かよ」
二人寄り添って眠る時、心臓の音が落ち着くのか、必ず雲雀はディーノの左胸に頭を乗せる。
無意識か、すり、と鼻先を擦りつける子供の髪を撫で、ディーノは雲雀の眠りを妨げないよう一晩中枕に徹した。
2012.10.28