拍手ログ置き場

□2011.09.09
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「あれ?今日はこっちの部屋で寝んの?」

寝室のベッドに転がっていたディーノは、バスローブ姿で現れた雲雀を見て驚いた顔をする。
無理も無い。
来日初日の昨日、いつもの様に一緒に寝ようとしたら、暑さを理由に拒まれたばかりだったのだ。
ディーノはメインベッドルームに、雲雀はサブベッドルームにそれぞれ別れて一夜を過ごした訳だが、同じ場所に雲雀がいるのに触れられなければ姿も見えずでは、寂しくて落ち着かなくて、昨夜ディーノは殆ど眠れていなかった。
けれど流石にそんな事は大人として恥ずかしくて言えないし、自分が我慢する事で雲雀の安眠が守られるなら、と、昨夜と同じくらい暑い今夜も別々に寝る覚悟はしていたのだが。

「何か文句あるの?」

「や、ないない。ある訳ない」

雲雀は勝手にベッドに乗り上げ、ごそごそとディーノのすぐ脇に滑り込む。
近い。
いくらなんでもこれでは雲雀が暑いだろう。

体温が高い自覚のあるディーノが少しだけ身体をずらすと、同じだけ雲雀も身体をずらしてついて来た。
そっと丸い頭に手を滑らせると、風呂上りのせいか熱を持っていて温かい。
自分の手の熱さを嫌がるかと思ったが、意外にも黒い瞳はうつらうつらと閉じられていく。

「暑くねぇ?平気?」

「暑い。ムシムシする。背中、汗かいてきた」

「だったら」

「でも、夕べより全然いい」

「何で?」

「夕べは全然眠れなかった。ベッド広くて部屋も涼しいのに、変なの」

雲雀は更に密着すると、広い胸に鼻先を擦りつけた。
すん、と鼻を鳴らす仕草が可愛くてつい抱き締めたくなるが、暑いと自己申告された以上、流石にそれは嫌がられるだろう。
だがディーノの躊躇など一顧だにせず、雲雀は尚もくっついてくる。

(あー、これは)

髪を撫でる手はそのままで、空いた手を雲雀の背に回して抱き寄せると、ようやく雲雀は落ち着いた様に身体から力を抜いた。

(恭弥も同じだったのかな)

触れられなくて、見えなくて、寂しくて、落ち着かなくて、眠れなくて。

(だったら、すげー嬉しい)

密着した身体から移る熱で暑いし汗ばむけれど、雲雀は早くも寝息を立てている。
朝になったら暑いと蹴り剥がされるかもしれないが、それまではこのまま抱いていてもいいだろう。
抱き締めた黒髪に鼻を埋め、ディーノも満足気に目を閉じた。








2011.09.09
 

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