拍手ログ置き場

□2011.07.07
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「恭弥、これどっかに飾れる?」

「何、それ」

「ここに来る途中の商店街で配ってた」

応接室に姿を現したディーノの手に握られていたのは、小さな笹の枝。

「短冊も貰ったから、一緒に願い事書こうぜ」

「何て書くつもり」

「そりゃー『恭弥とずっと一緒にいられますように』かな」

「くだらない」

雲雀はディーノの手から笹と短冊を取り上げると、机の上に放り投げた。

「僕の行動を僕以外の誰が決められるっていうの」

したい事しかしない。
したくない事はしない。
何であれ。相手が誰であれ。

「僕は僕がしたいようにする。星に願ったところで僕の気が向かなけりゃ無意味だよ」

「じゃあ恭弥に願い事したら叶えてくれっか?」

「さぁ?言ったろ、気分次第だって」

不機嫌そうな言動とは裏腹に、雲雀の表情は楽しげで機嫌は悪くなさそうだ。
ソファーに座る身体に覆い被さっても拒まない。

「今一番叶えて欲しい願い事一つ。恭弥とキスしたい」

「ふぅん。それだけでいいんだ」

「え?」

覆い被さる大きな胸倉を掴んで、雲雀はディーノを引き寄せる。
どうやら雲雀の気が向いたらしい。
願いを叶えて貰ったディーノの手から、残りの短冊が零れた。



一日だけ応接室に飾られた笹。
何も書かれていない二つの短冊が、少しだけ離れた場所で揺れていた。





2011.07.07
 

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