拍手ログ置き場

□2011.06.18
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「日本の父の日って6月なんだな」

TVから流れるCMを眺めていたディーノが、傍らの雲雀に話しかける。

「イタリアにもあるの?」

「あるぜ。3月」

「国によって違うんだ」

「風習もな。イタリアでは聖ジュゼッペのお祭りで祝日」

「へぇ、こっちじゃ地味すぎて忘れられそうな日なのにね」

「ひでぇな」

雲雀の口調は、いつもの世間話のそれと何も変わらない。

「お前は?父の日のプレゼント用意した?」

「僕がそんな事すると思うの?」

雲雀の口から家族の話が出た事など殆どない。
両親と同居しているのか否かも、実は不明だ。

「ちゃんとお祝いしてやれよ。親父さん、きっと喜ぶぞ」

説教がましい言い方になったディーノを、雲雀は眉間に皺を寄せて横目で見るが、ディーノの口調は柔らかなままで。

「母親と違って父親は、普段は仕事で帰りが遅いし、休日だってあんまり子供と顔合わせなかったりすんだろ。きっと寂しがってるよ。ちょっとでも家族と一緒に過ごせる時間があれば、すげー喜ぶと思うぜ」

いかにも年長者のような口ぶりに雲雀はムッとするが、すぐにディーノの家族構成を思い出す。

ディーノは幼い頃に両親を亡くしている。
特に父親の死に関しては、恐らく一生背負って生きていくのだろう。
息子を甘やかせなかった父親と、父親に甘えられなかった息子。
それを思うと、ディーノの言葉は口調ほど軽くはない。

「……気が向いたらね」

それを肯定と取ったか、ディーノは自分の事のように嬉しそうな顔で雲雀を抱き締めた。

「俺もいつか、お前との間に生まれた子供に父の日祝ってもらいてーなー」

「蒸し暑さで脳がやられたかい?どうやったら男同士で子供が出来るんだよ」

「リボーンやボンゴレに頼めば何とかなるんじゃねぇ?俺、恭弥によく似た子供が欲しい」

「……やだ。絶対やだ」

「いーじゃん。見た目も性格も恭弥そっくりなの。ぜってー可愛いよ」

「やだ。あなたに似てるなら考えてやらない事もないかもしれないけど」

「えー俺ー?ぜってー恭弥の事大好きで、恭弥べったりになるの目に見えてっからやだなー。恭弥も子供の相手ばっかりで俺の事構ってくれなくなりそう」

勝手な想像に勝手に不機嫌になって、ディーノはぎゅうぎゅうと恭弥を胸に抱き締める。
だからディーノは気付かなかった。
ディーノの胸に抱かれた雲雀の顔が、赤味を帯びている事に。

そして

(こっちの台詞だ)

雲雀が心の中で悪態をついている事に。







2011.06.18
 

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