恋涙〜賢者の石〜
□汽車に揺られて移動中
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「リドルが空いてるコンパートメントを探しに行ってる間に、僕、ちょっとヘマしちゃって荷物を引っくり返しちゃったの。それをロンのお兄ちゃん達が直すのを手伝ってくれたんだ。その後お母さんとロンが来て…色々あって今に至る」
「…ハリー、今説明するの面倒になって省いたでしょ」
「だって、大人数過ぎてちょっとパニックになっちゃたんだもん」
プクッと両頬を膨らませるハリーに内心悶えながらもリドルは見事な笑顔のポーカーフェイスでロンに向かって質問した。
「今度僕にも紹介してよ」
「うんっ」
それから暫くすると景色を眺めるリドルとクィディッチ講座を開くロンと其れを興味津々に聞くハリーに分かれた。
やがて12時半を回った頃車内販売のおばさんがやって来た。リドルはすかさず立ち上がると廊下に出ていった。
「君は?」
「…僕、サンドイッチがあるから」
モゴモゴと口ごもりながら答えるロンにハリーが声を掛けようとしたが、戻ってきたリドルによって遮られた。
「ウィーズリー、魔法界の食べ物で何かお勧めない?僕何にすれば良いか判らなくてさ」
リドルの呼び出しに二人は納得した。ロンが廊下に出るとエリスがちょこんとハリーの膝に座った。
暫くするとハリーは思わず口をあんぐりと開いた。リドルとロンが抱えきれない程の商品を手に戻って来たからだ。
「…リドル、全部買ったの?」
「ウィーズリーの説明が案外面白くてさ。全部少しずつ買っちゃった♪ハリーは何が食べたい?あ、お金は良いよ、全部僕の奢り。ウィーズリーも好きなの食べて良いよ。ガイドが案外面白かったからそのお礼」
リドルが空いている席にドサドサと置きながら言うのをハリーはクスクスと笑いながら見ていた。リドルなりの優しさを、ロンが理解してないからだ。ロンは最初こそ遠慮がちに首を横に振ったが最後はリドルの一睨みで『蛙チョコレート』に手を伸ばした。
「…これ美味しい」
「本当?ハリーが気に入ったならまた買おうね」
「美味しいよ、リドルも食べる?」
ハリーは一番近くにあった『かぼちゃパイ』を一口かじるとリドルにそれを向けた。リドルは一瞬パチクリと瞬きをした。
「はい、あーん」
「?!/////ι」
ハリーが無邪気に微笑んだ。しかも『あーん』を言ったタイミングで首を傾けている。リドルは立っているので自然な成り行きでハリーは上目遣いだ。リドルは思わず目元を赤くさせたが、ゆっくりと口を開いた。
「ね?美味しいでしょう?」
「…うん/////ι」
リドルが真っ赤になりながら口を抑えているのをロンは見なかった振りをして『蛙チョコレート』を選んでいた。
ハリーはパイをリドルと交互に食べながら(リドルは食べずに教科書を読み始めたのでハリーが定期的にパイを口に運んでいた。)ロンが『蛙チョコレート』をカタカタと振りながら選んでいるのが気になった。聞けばそれは蛙の形をしたチョコレートで、おまけに有名な魔法使いや魔女のカードが入っているらしい。
ハリーは適当に一つ摘まんで開いた。そして、中のチョコレートが“跳び跳ねた”。
「うわぁああぁあっ?!」
「?!/////ι…ハリー?!どうしたの?!」
箱ごと其れを投げ棄てたハリーは恐怖に顔を強ばらせてリドルに抱き付いた。もちろんエリスを膝から落とした事に気付く余裕など無い。とにかく悲鳴を上げ続け必死にリドルにしがみつく。内心とても喜ぶリドルだが、何がこんなにハリーを怖がらせているか判らない以上有頂天に喜んでいられない。(と言いつつ、ハリーを姫抱きに抱き上げているが)
するとノックと同時にコンパートメントのドアが開き、チョコレートが逃げていった。
逃げたチョコレートに安心したハリーはリドルの腕から離れるとドアに視線を向けた。ドアにはあの美少女少年と蒼髪の少年が立っていた。美少女少年は相変わらずグラサンを着けている。
「ハァ〜イ、リドル。約束通り遊びにきたわよ♪」
「リナ、君何処に座ってたの?」
「…まぁ、ちょっと遠いところよ」
(…え、この子…女の子なの?)
思わず蒼髪の少年(少女疑惑浮上)を凝視していると、美少女少年がハリーに向かって手を振った。
「やぁ、また逢ったな」
「あ、えっと…」
「ミサト。ミサト・グランディア。此方にいるのがリナ・ウィンディア」
「あ…僕はハリー。ハリー・ポッターです」
美少女少年改めて、ミサトと握手するためにハリーが傍に歩み寄る。だがミサトがハリーと握手する前にハリーはリナに何故か抱き付かれた。
「可っ愛い!!」
「え?!へ?!/////ι」
「雪のように白い肌、絹糸のように輝き波打つ黒髪!!優しいエメラルドグリーンの瞳に桜ん坊のように可愛い薔薇色の唇!!華奢な体躯!!何このパーフェクト美少女!!いやぁん、怯えてる、カーワーイーイー!!」
「ちょっと!!ハリーが戸惑ってるだろ?!離してよ!!」
「リドル…っ助けて…っ」