恋涙〜賢者の石〜


□お買い物 T
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 リドルはハリーの言葉に首を横に振った。見覚えがある気がしたのだ。このパブを。だがきっと気のせいだ。リドルはそう考えることにして、扉を潜るハグリッドに続いた。

 有名にしては中はみすぼらしい。それが二人の印象だった。客なんて数える程度しかいないし、何より薄気味暗い。だが、皆がハグリッドを知っているようで、ハグリッドに気付いた客は笑顔でハグリッドに向かって手を振っている。するとバーテンがハグリッドに酒を進めた。しかしハグリッドはそれを断るとハリーとリドルの背中を叩いた。

「悪ぃな、トム。今はホグワーツの仕事中なもんでさぁ」


 「(トムだって、リドル)」
 「(…だから嫌なんだよ、この名前。他人とよく被るから。どうせならもっとかっこいい名前つけてくれれば良かったのに)」

 二人がひそひそ話をしているとバーテンがいきなり二人に抱き着いてきた。

「お帰りなさい…ポッターさん、リドルさん…本当にようこそお帰りで…」

 リドルは一瞬驚いたように目を開いたが直ぐ様バーテンの腕から逃れるとハリーを自分の背中に隠してしまった。しかし、いつのまにやら客が二人を取り囲み握手を求め群がった。

「僕、貴方に会ったことがある。お店で一度お辞儀してくれた人でしょ?」

 ハリーが可愛らしく首を傾げながらディーダラス・ディグルを見つめながら微笑んだ。只今ハリー・ポッター猫被り率70%である。ハリーは基本的に他人と接する際には七割近く猫を被る。そうすれば上手く処世出来ることを知っているからだ。

「覚えていてくださった!!みんな聞いたかい?覚えていてくださったんだ!!」

 ディーダラス・ディグルはみんなを見回して叫んだ。それを皮切りにハリーとリドルは次から次へと握手をした。と、言うより半強制的に握られていった。そんな人垣の間から、するりと青白い顔の若い男が神経質そうに進み出た。

「ハ、ハリー…ポ、ポッター…君?」
「おぉ!!クィレル教授!!ハリー、リドル。彼はホグワーツの先生をしちょる。挨拶せぇ」
「初めまして、ハリー・ポッターです」
「…初めまして、トム・リドルです」

 ハグリッドに紹介された青白い男は吃りながらハリーとリドルと握手を交わした。

「お会いできて、ど、どんなにう、嬉しいか」
「…クィレル先生はどんな魔法を指導していらっしゃるんですか?」

 リドルは微笑みながらクィレルに問い掛けた。

 
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